日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピューマ」の意味・わかりやすい解説
ピューマ
ぴゅーま
puma
cougar
American lion
[学] Puma concolor
哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。アメリカライオン、クーガーともいう。カナダ西部から南アメリカ南端まで分布し、平地から高山に至る砂漠、岩地、草原、森林など、ほとんどの地域に生息する。体長1.1~1.6メートル、尾長60~85センチメートル、体重30~120キログラム。大きさと体色は変化に富み、普通は黄褐色であるが、黒色から褐色、灰色までまれにみられる。成獣の体は単色で耳と尾の先端が黒色であるが、幼獣には暗色をした大きな斑紋(はんもん)が体にある。単独で生活し早朝と日没後によく活動する。泳ぎや木登りもうまいが地上生で、シカを主食とし、北アメリカでは全食物の50~70%がシカである。ほかにビーバーやヤマアラシ、ときにヒツジやウマなどを襲う。縄張り(テリトリー)は雄で9~50平方キロメートル、雌で5~20平方キロメートルで、雄どうしの縄張りは重ならず、1頭の雄の縄張りは1頭以上の雌のものと重なり合うという。繁殖期は一定でないが、北アメリカではほとんどの子は夏に生まれる。妊娠期間は92~96日で、雌は岩の間などの巣で1産2~4子、ときに6子を産む。子は体長25~30センチメートル、体重400~500グラムで、約5週間乳を飲む。雌親はノウサギやリスを運んでくるようになり、普通、1年間は子とともに過ごす。寿命は飼育下で19年。
[今泉忠明]