(読み)トラ

デジタル大辞泉 「虎」の意味・読み・例文・類語

とら【虎】

ネコ科哺乳類ライオンと並ぶ大形の猛獣体長約2メートル。全身黄褐色で黒い横縞がある。シカイノシシなどを捕食沿海州から朝鮮半島・中国を経てインド・ジャワバリ島まで広くアジアに分布し、主に密林単独またはつがいで暮らす。シベリアトラベンガルトラなどの亜種に分けられる。乱獲により数が激減
酒に酔って言動が荒くなった人。酔っぱらい。「箱」
阪神タイガース」のこと。「連敗脱出」
[類語](1獅子ライオン猛虎ジャガーピューマチーター/(2酔っぱらい酔客酔漢酔いどれ

こ【虎】[漢字項目]

常用漢字] [音](漢) [訓]とら
〈コ〉トラ。「虎穴虎口騎虎白虎びゃっこ猛虎竜虎
〈とら〉「虎斑とらふ
[名のり]たけ
難読虎杖いたどり御虎子おまる虎列剌コレラ虎落もがり猟虎らっこ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「虎」の意味・読み・例文・類語

とら【虎】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ネコ科の哺乳類。体長約二メートルから大きなもので三メートル以上に達する。体の上面および側面は黄褐色で黒い横縞があり、下面は白い。尾は長く、黒い縞が並ぶ。雄にはよくほおひげが発達。森林や竹やぶに単独ですみ、水にもよくはいる。鋭い牙と頑健な釣状の爪を持ち、主に夜活動しシカやイノシシを捕食。地域によって大きさや体毛にやや変化があり、チョウセントラ、インド産のベンガルトラなど八亜種に分けられる。一般に北方産の方が大きい。アジアの特産種で、シベリア南部からインド、ジャワにかけて分布するが、どの地域でも生息数が激減し絶滅が危惧されている。
      1. [初出の実例]「新羅の進る調、筑紫より貢上(たてまつ)る。〈略〉綾羅(うすはた)・虎(トラ)豹皮(おかつかみのかは)及び薬物の類」(出典:日本書紀(720)天武朱鳥元年四月(北野本訓))
    2. からねこ(唐猫)」の異称。
      1. [初出の実例]「御ひざうの手がひのとらをめしよせ〈略〉しばしたはふれたまひける」(出典:浄瑠璃・頼朝三嶋詣(1678)三)
    3. 比喩的に、勇猛果敢な人。また恐れ重んじられる人。
      1. [初出の実例]「もちゐる時はとらとなるべき人はさすが候(さぶらふ)らんものを」(出典:愚管抄(1220)七)
    4. 酔っぱらい。泥酔者
      1. [初出の実例]「とんとんと・虎の鼾をきく女房」(出典:雑俳・化粧紙(1826))
  2. [ 2 ]とらごぜん(虎御前)」の略。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「虎」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音]
[字訓] とら

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
〔説文〕五上に「山獸の君なり」とあり、「虎足は人の足に象る」とするが、その部分は脚・尾の形である。楚では於(おと)といい、青銅器にみえる饕餮(とうてつ)の文様は、その展開文であるらしく、語としても関係があるかと思われる。

[訓義]
1. とら。
2. たけだけしい、勇猛なもの。

[古辞書の訓]
和名抄〕虎 止良(とら)〔名義抄〕虎 トラ

[部首]
〔説文〕に彪・など十四字、〔玉〕に・號(号)など十余字を加える。〔玉〕に(と)は「烏(うと)、ち虎なり」とあって、烏・於は古く南方で語頭に加える音である。

[声系]
〔説文〕に虎声として琥・など三字を収める。琥は兵符に用いる瑞玉、は虎の声をいう。

[語系]
虎xa、xyaはその声が近い。これによっていえば、虎はその声によって名をえたものであろう。

[熟語]
・虎威・虎・虎喙・虎館・虎檻・虎眼・虎騎・虎戯・虎舅・虎踞・虎渓・虎径・虎穴・虎圏・虎口・虎侯・虎・虎子・虎視・虎士・虎・虎鬚・虎酒・虎須・虎女・虎嘯・虎臣・虎勢・虎節・虎・虎・虎啗・虎中・虎鈕・虎・虎・虎枕・虎拝・虎魄虎斑・虎貔・虎尾・虎符・虎文・虎炳・虎変・虎榜・虎卜・虎奔・虎・虎目・虎紋・虎落・虎旅・虎狼
[下接語]
画虎・臥虎・餓虎・騎虎・虎・窮虎・虎・餒虎・乳虎・白虎・暴虎・猛虎・竜虎・両虎・狼虎

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「虎」の解説

とら

曾我物語」の登場人物。
相模(さがみ)(神奈川県)大磯遊女虎御前ともよばれる。曾我祐成(すけなり)の愛人。祐成が父の仇(あだ)討ち後に殺されると尼となり,曾我兄弟の母をたずね,兄弟の供養(くよう)をする。信濃(しなの)善光寺,紀伊(きい)熊野など全国各地にその伝承がのこる。「吾妻鏡」にも名がみえ,実在の人物との説もある。一説に寛元3年(1245)71歳で死去とも。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

動植物名よみかた辞典 普及版 「虎」の解説

虎 (トラ)

学名:Panthera tigris
動物。ネコ科の哺乳動物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

デジタル大辞泉プラス 「虎」の解説

野火晃による児童文学作品。1977年、講談社児童文学新人賞受賞。1980年刊行。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【満功】より

… 諸国の霊山の開基の僧の名前に多いマンコウにも,巫女との関係が見え隠れしている。深大寺の開山にまつわる伝説では,満功上人の祖母の名として虎という女性があらわれる。曾我十郎の愛人の大磯の虎(虎御前)や吉野山や立山の都藍尼(とらんに)の伝説を考え合わせると,この虎も巫女的な女性ではなかったかと思われる。…

※「虎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android