日本大百科全書(ニッポニカ) 「チーター」の意味・わかりやすい解説
チーター
ちーたー
cheetah
[学] Acinonyx jubatus
哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。アフリカのサハラ砂漠と熱帯降雨林を除く全域から小アジアを経てインド北部まで分布し、サバナや荒れ地に生息する。体長1.2~1.5メートル、尾長60~80センチメートル、体重45~90キログラム。体は灰色から褐色で、黒色の小斑紋(はんもん)を密に散布する。つめは鋭くなく、鞘(さや)に引っ込めることができない。普通は雌雄の1対か雌と成長した子の家族で生活するが、3~4頭の雄だけのハンティンググループや、雌を探す雄グループも観察されている。雌だけの群れは知られていない。昼行性で、狩りは朝と夕方に行う。獲物は小形ないし中形の有蹄(ゆうてい)類で、インドではブラックバックやアキシスジカ、アフリカではガゼル、イボイノシシ、シマウマである。ねらった獲物に身をかがめて接近し、それから急に突進して追いすがり、獲物を殺す。地上でもっとも速く走る動物といわれ、走り始めて2秒後には時速72キロメートルに加速することができ、最高時速は113キロメートルである。出産は東アフリカでは普通、雨期および雨期があける3~6月で、妊娠期間90~95日ののち、1産1~8子を産む。寿命は飼育下で18年以上。インドの王侯は本種を飼いならし、レイヨウ狩りに用いた。そのためシュリョウヒョウ(狩猟ヒョウ)の別名がある。
[今泉忠明]