1993年に登録されたフィリピンの世界遺産(文化遺産)で、ルソン島のマニラ、パオアイ、サンタ・マリアと、パナイ島のミアガオにあるスペイン植民地時代の教会群。スペインは1571年にルソン島のマニラとその周辺を占拠し、フィリピンを植民地化すると、統治のための役所や総督の邸宅をはじめ、キリスト教を布教するため各地に聖堂を建設した。聖堂はバロック様式を基礎に、地震や台風に備えた強固な石造りで、他のヨーロッパ列強に対する防御の拠点ともなる要塞としての機能を持っていた。世界遺産に登録された4つの聖堂のうち、最古の聖堂はマニラのサン・アグスティン聖堂で、その他パオアイのサン・アグスティン聖堂、サンタ・マリアのヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・アスンシオン聖堂、ミアガオのサント・トマス・デ・ビリャヌエバ聖堂が残る。第二次世界大戦の戦火を耐え抜いたこれらの聖堂は、「地震のバロック」とも呼ばれるほど強固で、植民地時代の遺産としてその歴史的な価値が認められ、世界遺産に登録された。◇英名はBaroque Churches of the Philippines