フェルキッシャー・ベオバハター
Völkischer Beobachter
ドイツ・ナチスの中央機関紙。〈民族の観察者〉の意味。前身は1887年ミュンヘンで創刊された《ミュンヒナー・ベオバハターMünchner Beobachter》で,1918年に上記の題号に改題,20年にヒトラーが買収し,ナチスの機関紙とした。当初は週2回刊,23年2月から日刊となるが,その年の11月ナチスがミュンヘン一揆に失敗したため,党とともに活動を禁じられた。しかし25年に復刊し,当初はミュンヘンだけで発行されていたが,30年にはベルリンでも,38年にはオーストリア併合でウィーンでも発行するなど,ナチスの発展とともに伸長し,44年の最盛期には170万部に達したものの,45年ナチスの崩壊とともに消滅した。1923年から37年まで,ナチスの理論的指導者であったA.ローゼンベルクが主筆を務め,デマと宣伝で政敵を攻撃するなどナチズムの強力な宣伝媒体として機能した。その一方,J.ゲッベルスがベルリンで発行していたもう一つの党機関紙《アングリフDer Angriff》とは,つねに対立を続けた。
執筆者:広瀬 英彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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フェルキッシャー・ベオバハター
ふぇるきっしゃーべおばはたー
Völkischer Beobachter
ドイツのナチス党機関紙。1887年にミュンヘンで創刊されたが、1920年にヒトラーに買収され、23年2月以来日刊の大衆的政治新聞となり、大衆集会とともにナチスの重要な宣伝手段とされた。同年11月のヒトラー一揆(いっき)後禁止され、25年2月復刊。33年1月末のヒトラー政権成立後は、一党独裁下の党機関紙として、ナチス・ドイツの公式見解を伝えるものとなった。ナチスの敗北とともに45年4月末廃刊。主筆は、1921~23年エッカルト、23~38年ローゼンベルク、38~45年ワイス。発行部数は、1925年4000、32年12万6000、38年60万、44年170万といわれる。
[吉田輝夫]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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フェルキッシャー・ベオバハター
Völkischer Beobachter
ナチスの機関紙。 1887年ミュンヘンで創刊された肉屋ギルドの業界紙『ミュンヒナー・ベオバハター』がその前身。 1919年『フェルキッシャー・ベオバハター』 (「民族の観察者」の意) と改題。 20年ヒトラーが買収,以来ナチスの機関紙となり,23年日刊紙となったが,ミュンヘン一揆失敗後一時姿を消した。 25年復刊後はナチスの勢力拡大とともに部数を伸ばし,30年代には北ドイツ版が 41万部,南ドイツ版が 15万部,ウィーン版が4万部,計 60万部に伸び,最盛時には 170万部に達したといわれる。ただし,J.ゲッベルスがベルリンで発行していた別の党機関紙『アングリフ』とは絶えず対立を続けた。 45年4月停刊,消滅した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のフェルキッシャーベオバハターの言及
【ナチス】より
…これと並行してドイツ幼年団,ドイツ少女団,ヒトラー青年団,ナチ学生同盟,ナチ婦人団,ナチ教師同盟,ナチ・ドイツ医師同盟,ナチ・ドイツ法律家同盟,ナチ官吏同盟,ドイツ文化擁護同盟などの年齢別,性別,職業別の付属組織を樹立して党の大衆化に尽力した。また30年9月までに機関紙《[フェルキッシャー・ベオバハター]Völkischer Beobachter》や《絵入りベオバハター》をはじめとして,六つの日刊紙と43の週刊紙,《国民社会主義通信》や《国民社会主義月報》などの定期刊行物,《国民社会主義文庫》などの双書を発行してナチズムの理念の普及に努めた。32年までにナチス新聞は,121種類に達した。…
【ナチス】より
…これと並行してドイツ幼年団,ドイツ少女団,ヒトラー青年団,ナチ学生同盟,ナチ婦人団,ナチ教師同盟,ナチ・ドイツ医師同盟,ナチ・ドイツ法律家同盟,ナチ官吏同盟,ドイツ文化擁護同盟などの年齢別,性別,職業別の付属組織を樹立して党の大衆化に尽力した。また30年9月までに機関紙《[フェルキッシャー・ベオバハター]Völkischer Beobachter》や《絵入りベオバハター》をはじめとして,六つの日刊紙と43の週刊紙,《国民社会主義通信》や《国民社会主義月報》などの定期刊行物,《国民社会主義文庫》などの双書を発行してナチズムの理念の普及に努めた。32年までにナチス新聞は,121種類に達した。…
※「フェルキッシャーベオバハター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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