改訂新版 世界大百科事典 「フカノキ」の意味・わかりやすい解説
フカノキ
Schefflera octophylla Harms
ウコギ科の常緑小高木で,高さ10mに達し,互生する掌状複葉は6~8小葉からなる。晩秋に茎に頂生する円錐状の花序に,多くの淡緑色の花を散形花序をなしてつける。九州南部から沖縄,台湾から中国大陸南部に自生する。
フカノキ属Scheffleraは熱帯アジアを中心に150種ほどもあり,高木から低木,あるいは着生状の半つる性木本植物で,観葉植物として栽培されるものがある。それらのうち台湾や中国南部に分布するヤドリフカノキS.arboricola Hayataは,比較的寒さに強く,茎がよじのぼり性を示す。半つる性木本で,掌状複葉は7~9枚の狭長楕円形で,先端は鋭尖形となる小葉からなり,革質で,表は光沢がある。小葉が幅広く丸みのある変種は観賞価値が高く,ホンコンカポックcv.Hong Kongの名で普及している。しかし,キワタ科のカポックとは関係のない植物である。ヤドリフカノキは変異が多く,葉に黄斑の入るもの,葉が細く小型のものなどがある。ほかに東南アジアからオーストラリア北部にかけて分布する種が栽植されることもあるが,普及はしていない。フカノキ属は芳香のある精油成分を有し,民間薬として利用されるものがある。また若芽が食用にされるものもある。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報