網膜の中心部で、色覚や視力のもっとも鋭敏な部位である。死体の眼球をのぞくと、混濁した網膜の中心に黄色の斑点(径約2ミリメートル)が見えるところから名づけられた。黄斑は視神経乳頭の耳側で、視角にして約15度離れたところにあり、黄斑の中央は網膜の厚さがとくに減少してへこんでおり、この部を中心窩(か)という。中心窩には錐状体(すいじょうたい)だけがある。見ようとする外界のものは、この黄斑に像を結ぶようになっている。
黄斑に病変がおこると、中心視力が冒されるため、読書などに障害が出てくる。このほか、視野の中心部に陰が出る中心暗点、物がゆがんで見える変視症などの症状もみられる。病気としては中心性網膜炎や加齢黄斑変性症のほか、遺伝性の黄斑ジストロフィーなどがある。また、網膜中心静脈閉塞(へいそく)症や糖尿病網膜症などが、黄斑に障害を及ぼしてくることもあり、急激に視力が低下する。
[松井瑞夫]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…網膜の神経成分はほぼ透明であるので,網膜色素上皮と脈絡膜が眼底の色を決め,これに網膜血管が加わる。眼底の部位は,黄斑と視神経乳頭を含む後極部,赤道部,周辺部に分けられる。眼底の病気は,出血,滲出物,混濁,変性,増殖組織などと血管自体の変化がおもなものとなっている。…
※「黄斑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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