フクオウソウ(読み)ふくおうそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フクオウソウ」の意味・わかりやすい解説

フクオウソウ
ふくおうそう / 福王草
[学] Nabalus acerifolius Maxim.
Prenanthes acerifolia (Maxim.) Matsum.

キク科(APG分類:キク科)の多年草。地中に短い走出枝を出し、先端に球芽をつけて栄養繁殖する。茎は高さ約60センチメートル、全体に粗く腺毛(せんもう)があり、切ると乳液が出る。葉は互生し、カエデに似る。8~9月、茎の上部が分枝し、紫白色で径約1.5センチメートルの頭花を多数下向きに開く。頭花は舌状花のみからなる。山地林床に生え、本州から九州に分布する。名は、最初の発見地、三重県の福王山にちなむ。フクオウソウ属は日本に2種ある。他の1種のオオニガナN. tanakae Fr. et Sav.(P. tanakae (Fr. et Sav.) Koidz.)は、頭花は淡黄色で径約3.5センチメートル。山地に生え、近畿地方以北の本州にまれに分布する。

[森田龍義 2022年4月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フクオウソウ」の意味・わかりやすい解説

フクオウソウ(福王草)
フクオウソウ
Prenanthes acerifolia

キク科の多年草で,四国,九州と本州の暖地に生じる。山地の樹下の多少湿ったところに生える。茎は 1mぐらいで直立し,花序以外は分枝しない。地下に走出枝を出す。葉は翼をもった長い柄があり,径6~10cmの心臓形で,鋸歯と深い切れ込みがある。8~9月に,太く長い花茎を伸ばし,多数の頭状花を円錐花序状につけ下垂する。頭花は青白色で,灰緑色総包があり,外片,内片の各総包片の外面には粗毛がある。茎や葉を切ると白い乳液が出る。

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