フクロムササビ(その他表記)greater gliding possum
Schoinobates volans

改訂新版 世界大百科事典 「フクロムササビ」の意味・わかりやすい解説

フクロムササビ
greater gliding possum
Schoinobates volans

有袋目フクロモモンガ科の哺乳類。姿,大きさともに齧歯(げつし)類のムササビに似て滑空する。フクロモモンガに比べてはるかに大型で,動作はゆっくりしている。体側からのび,前足手首から後足くるぶしに及ぶ飛膜をもつ。体長30~48cm,尾長45~55cm,体重1.2~1.5kg。よく発達した育児囊には2個の乳頭がある。体色は個体によってさまざまで,背面がふつう黒色あるいは暗い茶色だが,中には灰色あるいはクリーム色のものもある。腹面は白色またはクリーム色。尾には長い毛が円筒状に密生し,ものに巻きつけることができる。

 オーストラリア東部の森林にすみ,夜行性。単独または雌雄のつがいで生活し,ふつう木の洞を巣とする。有袋類としてはよく鳴き,しばしば人を驚かせるほどの大きな声を上げる。木から木へと最高78mも滑空するといわれるが,110mという記録もある。ほとんど地上に降りることなく,もっぱら樹上で木の葉を食べる。ユーカリ類の樹木のうち一定のいくつかの種の葉を好む。1産1子。寿命は15年くらい。
有袋類
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フクロムササビ」の意味・わかりやすい解説

フクロムササビ
ふくろむささび
greater glider-possum
[学] Schoinobates volans

哺乳(ほにゅう)綱有袋目クスクス科の動物。オーストラリア東部の高地に分布する。頭胴長30~48センチメートル、尾長45~55センチメートル、体重1.5キログラム前後。外形は普通のムササビによく似ている。体側には飛膜がよく発達し、木から木へ滑空することができる。雌には育児嚢(のう)があり、乳頭は2個。体毛は長く柔らかい。体上面は暗灰色から黒色、淡灰色と変化に富み、下面は白色またはクリーム色。樹上に単独かつがいで生活し、夜行性で昼間は木のうろなどで休息する。おもにユーカリの葉、花、芽を食べる。1産1子で、生まれたばかりの子は毛が生えていず、目は閉じている。

[中里竜二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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