脊椎動物が飛翔(ひしよう)したり滑空するとき,広げて使う皮膚の膜で,ふつう前肢から後肢,さらに後肢から尾にかけて張られる。真の飛翔に役だつのはコウモリと絶滅した翼竜(プテラノドンなど)の飛膜flying membraneで,翼竜では前足の第4指が長く伸び,そこから後肢にかけて膜が張られるが,コウモリでは前足の第2~第5指が長く伸び,それらの間,および第5指と後肢,さらに後肢と尾の間に膜が発達する。コウモリの飛膜は,薄い2層の皮膚からなるゴム状の膜で,その間には膜を縮める筋肉があり,使わないときは膜を小さく折りたたむことができる。再生力が強く,枝などに突き刺して穴が開いても,たいてい完全に治癒する。滑空するものの飛膜gliding membraneは,ヒヨケザル,ムササビ,モモンガ,ウロコオリス,フクロモモンガなどの哺乳類に見られ,ふつう前肢の手根部から後肢の足根部まで,体側の皮膚が伸びて形成される。ヒヨケザルではさらに,後肢から尾の先端まで張られた尾膜がある。ムササビとモモンガでは,前肢の手根部からは手根骨の一つが長く伸びて飛膜を支え,その面積を大きくするのに役だつ。トビトカゲの飛膜はこれらと異なり,体側にうちわ状に突き出ていて,5~7対の肋骨が長く伸びてそれを支え,自由に開閉できる。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鳥類を除く陸生脊椎(せきつい)動物にみられる、滑空あるいは飛行のために使われる膜状構造をいい、皮膚のひだとして発達した。滑空のための飛膜は哺乳(ほにゅう)類のムササビやモモンガ、ヒヨケザルなどにみられる。四肢と体側の間に皮膜があり、これで滑空し、尾によって方向を変えることもできる。コウモリの仲間の飛膜は、長く伸びた指骨と四肢、体側の間に張られていて、鳥の翼のように羽ばたいて飛ぶことができる。後肢と尾の間の膜が方向舵(だ)の働きをする。トビトカゲにも飛膜とよばれる構造が体側にあるが、これは体側に張り出した肋骨(ろっこつ)をつなぐ皮膚のひだであり、四肢とはつながっていない。
[和田 勝]
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