フユイチゴ(読み)ふゆいちご

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フユイチゴ」の意味・わかりやすい解説

フユイチゴ
ふゆいちご / 冬苺
[学] Rubus buergeri Miq.

バラ科(APG分類:バラ科)の常緑低木。茎は長く伸長してはう。全体に軟毛を密生し、普通、刺(とげ)はないが、まれに有刺のものもある。葉は単葉で互生し、円形に近く、長さ5~10センチメートル、縁(へり)に鋸歯(きょし)がある。葉柄は3~10センチメートル。7~8月、葉腋(ようえき)に白色で径約1センチメートルの5弁花を数個開く。集合果は球形、9~10月に赤色に熟し、食べられる。果実は冬までみられるので、フユイチゴの名がある。伸長した茎の先端が接地して発芽し、新しい個体をつくる。低山地に生え、関東地方南部以西の本州から九州、および朝鮮半島、台湾、中国に分布する。やや深い山地にみられるミヤマフユイチゴR. hakonensis Fr. et Sav.は、葉は浅く5裂して先はややとがり、萼筒(がくとう)は無毛、全体に刺がある。

[鳴橋直弘 2020年1月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フユイチゴ」の意味・わかりやすい解説

フユイチゴ(冬苺)
フユイチゴ
Rubus buergeri

バラ科のつる性常緑の小低木。カンイチゴともいう。アジア東部に広く分布する。日本では関東地方より西の各地の林や山地の木陰に生える。茎は直立または斜上し,全体に細くやや短い毛があり,とげはほとんどない。長い匍匐枝を伸ばし,短柄の葉が互生する。葉は円心形で分裂せず,基部は心臓形をなす。夏から晩秋にかけて,葉腋に5~10個の円錐花序をつける。花は白色で径 1cmあまりの5弁花で萼には黄色みを帯びた毛がある。核果は多数集って球形となり,冬に赤熟し食用とされる。

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