フラウィウス朝(読み)ふらうぃうすちょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フラウィウス朝」の意味・わかりやすい解説

フラウィウス朝
ふらうぃうすちょう

ローマ帝政期の王朝の一つ。ユリウス・クラウディウス朝最後の皇帝となったネロの暗殺に続く内乱を平定して69年に帝位についたウェスパシアヌス(在位69~79)、その息子ティトゥス(在位79~81)、その弟ドミティアヌス(在位81~96)の3代。王朝名は、彼らの氏族名フラウィウスFlaviiによる。彼らはいずれも有能な武将として信望を集め、その治績も国境防衛体制の強化にもっとも著しい。ネロ時代に破綻(はたん)に瀕(ひん)した財政の立て直しにも成功した。ウェスパシアヌスは、ネロ時代の独裁的傾向の失敗に学んで、できるだけ元老院との協調に努めたが、ドミティアヌスの時代になるとふたたび専制的となった。しかし、彼が96年に暗殺されて王朝は絶えた。

[市川雅俊]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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