フラスコモ(読み)ふらすこも

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フラスコモ」の意味・わかりやすい解説

フラスコモ
ふらすこも
[学] Nitella

緑色植物、車軸藻(しゃじくも)類フラスコモ属の総称。同じ車軸藻類であるシャジクモ属とは、節間細胞に皮層がないこと、小枝の節では造精器が上位につくこと、生卵器小冠細胞が二列になることなどで区別できる。フラスコモ属は日本で約50種ほどが産するが、ほとんどは弱光を好む陰生植物である。オオフラスコモN. flexilis Ag. var. longifoliaとヒメフラスコモN. flexilis Ag. var. flexilisはおもに本州中部から北海道にかけての湖沼の水深6~10メートルあたりに純群落をつくって生育する。湖沼の垂直分布で、車軸藻帯をつくるのはこれらのフラスコモの仲間である。なお、ニッポンフラスコモN. megacarpa All. var. japonica Imah.は暖地産の日本特産種である。

小林 弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フラスコモ」の意味・わかりやすい解説

フラスコモ
Nitella

藻類シャジクモ目シャジクモ科。フラスモとも呼んだことがある。緑色の藻類で淡水産。日本では 50種以上記録されている。シャジクモ (車軸藻)によく似ているが輪生枝が変形して生じる生卵器の構造が異なり,この藻では生卵器にある小冠という細胞が2段になっている。またシャジクモでは生卵器が上位であるのにフラスコモでは造精器が上位である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報