改訂新版 世界大百科事典 「シャジクモ」の意味・わかりやすい解説
シャジクモ (車軸藻)
雌性生殖器官の頂端に5個の小冠細胞をもつシャジクモ亜科の代表的な種の名であるが,またシャジクモ属Charaの総称名(英名stonewort)にも使われる。シャジクモ属は雌雄同株で,上下に並んでできる2個の雌雄生殖器官のうち,上位の器官が雌性であることで他の属と区別される。日本のこの属には8種1亜種5変種が知られ,その代表的な種にシャジクモC.braunii Gmelinのほかに,カタシャジクモC.globularis Thuillier,ハダシシャジクモC.zeylanica Wild.,オオシャジクモC.corallina Wild.などがあり,池,溝,湖沼または水田などに生育する。最も普通に見られるシャジクモは皮層がないために,原形質流動の観察によい材料であり,また室内培養も容易であるため,理科教育の教材によく用いられる。この種は皮層がないことでフラスコモに似るが,小枝が単軸で叉(さ)状でないこと,および小冠細胞が10個でなくて5個であることで区別される。
執筆者:千原 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報