垂直分布(読み)スイチョクブンプ

百科事典マイペディアの解説

垂直分布【すいちょくぶんぷ】

高度分布とも。土地高度および水深に伴う生物の分布。水平分布の対。特に植物では明瞭。山岳では高度が100m増すごとに平均約1℃の気温の低下があり,この低下に対応して水平分布に似た群落の種類や外観の垂直変化がみられる。本州中部の太平洋岸の山岳では500m付近まで照葉樹林帯(低山帯),1500m付近まで夏緑林帯(山地帯),1500〜2500mまで針葉樹林帯(亜高山帯)となり,この上には森林高木がない。この森林の上限を森林限界,高木の分布上限を高木限界という。この上は3000m付近まで低木や高山草原の発達するハイマツ帯(高山帯),さらに地衣帯(亜恒雪帯)になる。低木の分布上限を低木限界という。動物相も高度につれて変化するが,これは温度変化よりもむしろ植生の変化により強く依存している。また湖沼や海にも水深によって植物の帯状分布がみられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

すいちょくぶんぷ【垂直分布 vertical distribution】

一般に生物の標高による高度分布をいい(海・水面下の垂直分布は深度分布として区別し,ここでは陸上に限定する),水平分布の対語。植物の垂直分布は,植生の変化とそれによってつくり出される相観の変化によって,いくつかに区分されたもので,垂直分布帯と呼ばれる。日本ではふつう低地から順に,標高500m以下の照葉樹林域を地形によって低地帯丘陵帯,標高500~1500mの夏緑広葉樹林域を山地帯,標高1500~2500mの針葉樹林域を亜高山帯,標高2500m以上の高木群落のないところを高山帯などと区別する。

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大辞林 第三版の解説

すいちょくぶんぷ【垂直分布】

土地の高度や水深との関係から見た生物の分布。温度が分布の限定要因となる。 ⇔ 水平分布

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

垂直分布
すいちょくぶんぷ

同一の地域でも、山に登ると気温が低下し、それに伴って植物の種類相や群落が変化する。このような高度による植物分布の様相を垂直分布という。その変化の状態はほぼ水平分布に対応している。海抜高度による植物分布の状態をみると、連続的ではなく、植生やフロラが急激に変化する所がある。そのような不連続によって区分したのが垂直分布帯である。本州中部では下から上に向かってシイ・カシ帯、ブナ帯、シラビソ帯、ハイマツ帯、ヒゲハリスゲ帯が区分できる。盆地などで冷気湖が形成される所では垂直分布帯が一部逆転することもある。
 垂直分布は山ばかりでなく凹地(くぼち)にもみられ、死海沿岸のように海面より低い所では、本来は亜熱帯であるが、気温が高くなり、熱帯の植生がみられる。[大場達之]

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