日本大百科全書(ニッポニカ) 「フーディーニ」の意味・わかりやすい解説
フーディーニ
ふーでぃーに
Harry Houdini
(1874―1926)
アメリカの奇術師。本名エーリッヒ・ワイズEhrich Weiss。この芸名はフランスの大奇術師ウーダンRobert Houdin(1805―71)にあやかったもの。あらゆる種類の鎖、手錠、箱から脱出してみせると豪語し、「脱出奇術王」とよばれた。マスコミの宣伝力を最大限に活用した、センセーショナルな話題づくりで大衆の心をとらえる才能があり、20世紀初頭のアメリカを代表する奇術師として一世を風靡(ふうび)した。そのため、彼の伝記には有名人特有の粉飾が多く、その生涯を扱った映画『魔術の恋』(1953)で、舞台の演技中に水槽の中で事故死するという脚色などもその一例。実際は虫垂炎による病死であった。
[松田道弘]