ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブランディス」の意味・わかりやすい解説
ブランディス
Brandys, Kazimierz
[没]2000.3.11. パリ
ポーランドの小説家。ワルシャワ大学法学部を 1938年に卒業。ナチスのポーランド占領を経験し,第2次世界大戦後にマルクス主義の週刊誌『鍛冶場』 Kuźnicaに参加した。処女作は『木馬』 Drewniany koń (1946) 。長編4部作『戦争と戦争の間』 Między wojnami (48~51) で,戦前から戦後にわたる世代のポーランド知識人のモラルとイデオロギーに関する問題を共産主義の視点から描いた。『市民たち』 Obywatele (54) も社会主義リアリズムの作品であったが,56年のスターリン批判後は『グレナダ防衛』 Obrona Grenady (56) など,共産主義を批判する作品を発表。のち実存主義的な方向へ向い,『Z夫人への手紙』 Listy do pani Z (58) ,『ロマン性』 Romantyczność (60) ,『虚構』 Nierzeczywistość (77) などを著した。 1970年代後半には反体制雑誌『ザピス』 Zapisの同人となる。 81年 12月の戒厳令施行の際,ニューヨークに滞在中であったが,その後パリに渡った。手記『歳月』 Miesiące (78~87) はワルシャワ時代の生活などをつづった温かいエッセイである。兄のマリアン・ブランディス (1912~98) は『知られざる公爵ポニャトフスキ』 Nieznany książę Poniatowski (1960) などの歴史小説を著わし活躍した。
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