日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブレンデル」の意味・わかりやすい解説
ブレンデル
ぶれんでる
Alfred Brendel
(1931― )
オーストリアのピアノ奏者。ザグレブとグラーツで音楽教育を受ける。その後ルツェルンでエドウィン・フィッシャーに師事、多大の影響を受けた。1949年ブゾーニ国際コンクールに入賞、ウィーンを本拠に演奏活動を開始した。初めリスト弾きとして知られたが、バッハからシェーンベルクまでの広いレパートリーをもち、とくにモーツァルト、ベートーベン、シューベルトの解釈で一家をなす。60年代後半にロンドンに移り、いっそう精力的な活動をみせるようになった。71年(昭和46)初来日。知性派の演奏家で、ロンドン大学の名誉音楽博士号をもつ。20世紀後半を代表するピアノ奏者の一人。著書に『Musical Thoughts and Afterthoughts』(1977。邦訳『楽想のひととき』)、『Music Sounded Out : Essays, Lectures, Interviews, Afterthoughts』(1991。邦訳『音楽のなかの言葉』)などがある。
[岩井宏之]
『岡崎昭子訳『楽想のひととき』(1978・音楽之友社)』▽『デイヴィッド・デュバル著、横山一雄訳『ピアニストとのひととき』(1992・音楽之友社)』▽『木村博江訳『音楽のなかの言葉』(1992・音楽之友社)』▽『和田司著『変貌する演奏神話――33回転の精神史』(2000・春秋社)』▽『マルティン・マイヤー編著、岡本和子訳『対話録「さすらい人」ブレンデル――リストからモーツァルトへの道程』(2001・音楽之友社)』▽『吉田秀和著『吉田秀和全集13 音楽家のこと』新装復刊版(2001・白水社)』▽『吉田秀和著『時の流れのなかで』(中公文庫)』