岩井(読み)イワイ

デジタル大辞泉 「岩井」の意味・読み・例文・類語

いわい【岩井】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「岩井」姓の人物
岩井俊二いわいしゅんじ
岩井半四郎いわいはんしろう

いわい【岩井】[地名]

茨城県南西部にあった市。平成17年(2005)に猿島さしま町と合併して坂東ばんどう市となった。→坂東

いわ‐い〔いはゐ〕【岩井/石井】

岩の間からわき出る泉を井としたもの。
「―汲むあたりの小笹をざさ玉こえてかつがつ結ぶ秋の夕露」〈新古今・夏〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「岩井」の意味・読み・例文・類語

いわ‐いいはゐ【岩井】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ( 「井」はわき水をくみ上げることができるようにした場所 ) 岩の間からわき出る泉を井としたもの。または、周囲を石で囲んだ井。いしい。
    2. いわい(岩井)の水
      1. [初出の実例]「岩井くむあたりのをざさ玉こえてかつがつ結ぶ秋の夕露〈藤原兼実〉」(出典:新古今和歌集(1205)夏・二八〇)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 茨城県南西部の地名。旧市名。昭和四七年(一九七二)市制。平成一七年(二〇〇五猿島町と合併して坂東市となる。
    2. [ 二 ] 鳥取県の北東端にあった郡。近世初期、巨濃(この)郡が改称して成立。明治二九年(一八九六岩美郡に統合されて消滅。

いわいいはゐ【岩井】

  1. 姓氏の一つ。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「岩井」の意味・わかりやすい解説

岩井(茨城県)
いわい

茨城県南西部にあった旧市名(岩井市)。現在は坂東市(ばんどうし)の南部を占める地域。1955年(昭和30)岩井町が中川、七郷(ななごう)、神大実(かみおおみ)、飯島(いいじま)、弓馬田(ゆまた)、七重(ななえ)、長須(ながす)の7村を合併。1972年市制施行。2005年(平成17)猿島(さしま)郡猿島町と合併し、坂東市となった。旧市域は古く岩井郷(ごう)といわれ、その地名を継ぐ。国道354号、主要地方道結城(ゆうき)―野田線などが通じ、利根(とね)川を挟んで対岸の千葉県野田市との間に有料の下総(しもうさ)利根大橋と、芽吹(めふき)大橋が架かる。旧市域外を走る関東鉄道常総線水海道(みつかいどう)駅、東武野田線野田市駅、つくばエクスプレス守谷駅などからバスの便がある。利根川に沿う猿島台地にあり、畑が広く、冬の季節風が強い。古代に長州牧(ながすまき)(長須)があり、馬にかかわる地名が多い。平将門(まさかど)が本拠を置いた地で、940年(天慶3)藤原秀郷(ひでさと)によって打ち破られ戦死した所。江戸時代は、利根川水運により経済が発達し、猿島茶と、葉タバコが有名であった。茶は宇治(うじ)の技術を入れ、葉タバコは桐ヶ作(きりがさく)種の改良により、いずれも茨城県第1位の産地であった。明治時代の鉄道計画が実らず、ようやく1958年芽吹大橋の完成で、京浜地方と結ばれ近代化を始めた。農業はレタス、夏ネギ、トマトなど野菜が多く、茶は現在も名産品。工業は段ボール、電機などが盛んとなった。平将門の伝説と親鸞(しんらん)の遺跡が多く、国王神社(こくおうじんじゃ)には将門の座像がある。また、近くには岩井館(やかた)跡や、将門ゆかりの延命寺がある。

[櫻井明俊]

『海老原藤吉著『岩井郷土誌』(1961・岩井町)』『『岩井町郷土誌』(1962・岩井町)』


岩井(鳥取県)
いわい

鳥取県北東端、岩美(いわみ)郡岩美町の一地区。旧岩井町。古来温泉地として知られる。『延喜式(えんぎしき)』記載の御湯神社(みゆじんじゃ)があり、藤原冬久(ふゆひさ)が祈願し、神女の杖(つえ)で温泉を発見したという。国指定史跡岩井廃寺塔跡には奈良時代の弥勒寺(みろくじ)五重塔の心礎がある。岩井温泉は国民保養温泉地に指定される。おもな泉源は3、泉質は硫酸塩泉。島崎藤村の『山陰土産(みやげ)』にも記された民謡「湯かむり歌」がある。山陰海岸国立公園に含まれる。

[岩永 實]


岩井(千葉県)
いわい

千葉県南部、内房(うちぼう)海岸にある南房総市(みなみぼうそうし)北部の中心地区。内房の一大海水浴場があり第二次世界大戦前から臨海学校が開かれていて「子供の海」ともよばれる。民宿や貸家、保養所など、夏季の観光施設が集中。

[山村順次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「岩井」の解説

岩井
いわい

浦賀水道に注ぐ岩井川下流域から河口にかけての一帯に比定される。ほぼ同一地域をさすであろう石井いわい郷は律令制の郷であり(和名抄)穂田ほた(現鋸南町)などと同様に早くから海上交通の拠点として開発されてきた所と考えられる。永和五年(一三七九)閏四月一三日の鎌倉府政所執事奉書(鶴岡八幡宮文書)に「岩井不入計半分」とみえ、「大方分」と号した同地が鎌倉鶴岡八幡宮本地供供料として寄進され、同年一二月二三日には、「岩井不入計村」全体が鎌倉鶴岡八幡宮本地供料所として寄進された(「鎌倉公方御教書写」相州文書)


岩井
いわい

中世末期にみえる地名。現御井町、高良こうら山麓の一帯をさすか。高良山の南谷・北谷を源とし、参道入口の御手洗みたらし池を回遊、山下の御井町を貫徹して北西方に向かう水流を現在も岩井川と称するのはその名残であろう。この流れが御井小学校付近を通過するところにある湧水を「磐井の清水」とよび、「高良玉垂宮神秘書」には三つの泉が湧いていたことが記され、これが「三井郡」の語源であるという。近世初頭の成立とされる「高良社画縁起 社参曼荼羅」にはここで水仕事をする女性たちの姿が描かれ、その景観は近代に至るまで変わらなかった(御井町誌)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

百科事典マイペディア 「岩井」の意味・わかりやすい解説

岩井[市]【いわい】

茨城県南西部,利根川左岸の低地にある旧市。1972年市制。猿島茶,野菜などを中心とした都市近郊型農業を主としている。関東鉄道水海道駅からバスが通じ,利根川にかかる芽吹大橋で千葉県野田市と結ばれる。電気,機械などの工場も進出している。平将門の石井(いわい)営所の地と伝えられる。2005年3月猿島郡猿島町と合併し市制,坂東市となる。90.72km2。4万3384人(2003)。

岩井[温泉]【いわい】

鳥取県岩美町の蒲生(がもう)川上流左岸にわく古くからの温泉。含食塩ボウ硝泉。46〜50℃。延喜式所載の御湯(みゆ)神社や岩井廃寺塔跡(史跡)があり,湯かむりの奇習や湯かむり歌が伝わる。江戸時代には十数軒の旅籠(はたご)があった。山陰本線岩美駅からバス。
→関連項目岩美[町]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

改訂新版 世界大百科事典 「岩井」の意味・わかりやすい解説

岩井[温泉] (いわい)

鳥取県東部,岩美郡岩美町にある温泉。山陰海岸から蒲生(がもう)川を約8kmさかのぼったところに位置する。セッコウ泉,46~50℃。温泉の歴史は古く,約1000年前に発見されたと伝えられる。山陰道沿いにあって古くから知られたが,1908年山陰本線が開通して京阪神からの客が多くなり発展した。湯治客が頭から湯をかぶり,〈湯かむり唄〉を歌う風習があった。周辺の浦富(うらどめ)海岸は,山陰の松島と呼ばれる景勝地である。
執筆者:


岩井 (いわい)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岩井」の意味・わかりやすい解説

岩井
いわい

茨城県南西部,坂東市南部の旧市域。利根川左岸にある。 1972年市制。 2005年猿島町と合体して坂東市となった。常陸台地の南西部を占め,古くは石井郷 (いわいごう) といい,『将門記』の石井営所 (猿島の偽宮) があったとされる。かつては猿島茶,葉タバコの主産地として知られた。 1958年利根川にかかる芽吹大橋が完成し,千葉県野田市,東京方面との交通が至便となり,電気機械器具などの工場が進出。平将門ゆかりの国王神社や延命寺などがあり,毎年 11月に将門祭りが行なわれる。

岩井
いわい

千葉県南部,南房総市北西部の旧町域。 1928年町制施行。 1955年平群村と合体して富山町に,2006年富浦町,三芳村,白浜町,千倉町,丸山町,和田町と合体して南房総市となった。東京湾湾口に臨み,民宿や臨海学校が多く,夏季は海水浴客でにぎわう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「岩井」の解説

岩井

岡山県苫田郡鏡野町、氷ノ山後山那岐山国定公園内にある湧水。1985年、環境庁により名水百選のひとつに選定された。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

事典・日本の観光資源 「岩井」の解説

岩井

(岡山県苫田郡鏡野町)
名水百選」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

世界大百科事典(旧版)内の岩井の言及

【水上[村]】より

…熊本県南東部,球磨(くま)郡の村。人口2919(1995)。九州山地の中央部,球磨川の最上流域に位置し,県の最高峰市房山(1722m)が宮崎県境にそびえる。球磨川が村域中央を南流し,湯山川との合流点に多目的ダムの市房ダムがある。中心集落は国道388号線が通じる岩野。米作のほか茶,シイタケ,クリの栽培と畜産などが行われ,村域の大部分を占める山林から良材を産する。市房ダム周辺は市房山県立公園として整備され,キャンプ場,サイクリングコースもあり,桜,紅葉の名所となっている。…

【岩美[町]】より

…鳥取県北東端,岩美郡の町。1954年岩井,浦富(うらどめ)2町と東,田後(たじり),網代(あじろ),大岩,本庄,小田の6村が合体,町制。人口1万4713(1995)。…

※「岩井」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android