ルツェルン(読み)るつぇるん(英語表記)Luzern

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルツェルン」の意味・わかりやすい解説

ルツェルン
るつぇるん
Luzern

スイスのルツェルン州の州都で、中部スイスの中心都市。人口5万7374(2001)。フィアワルトシュテッター湖の西端、ロイス川の流出点にあり、アルプス連峰を展望できる観光・保養都市。8世紀のベネディクト派の僧院が町の起源で、13世紀にサン・ゴタルド峠を通ってイタリアとライン川流域を結ぶ通商路が開かれて発展が始まった。ロイス川に架かる屋根付き木造のカペル橋(1300ころ建造)はヨーロッパ最古の現存木橋として知られ、右岸の旧市街には市庁舎、教会など16~17世紀建造の建物が多く残る。町の急速な発展はゴタルド街道開通の1830年以降と、ゴタルド鉄道開通の1882年以降にみられる。ホテルの数は60を超え、ベッド数は5600を数える。市の就業人口の7割はサービス業という観光の町で、湖尻(こじり)北岸には遊歩公園があり、周りのリギ山ピラトゥス山などには登山鉄道が通じ、眺望を楽しむことができる。

[前島郁雄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルツェルン」の意味・わかりやすい解説

ルツェルン
Luzern

スイス中部,ルツェルン州の州都。フィーアワルトシュテッテ湖 (通称ルツェルン湖) 北西端,ロイス川の流出点にあり,国内で最も美しい観光都市の一つ。8世紀に創設されたベネディクト会修道院と近くの漁村中核集落を形成。 1230年頃からはサンゴッタルド峠を越える街道が開かれたため,ドイツ-イタリアを結ぶ交易の一中心地として発展。ロイス川の両岸に発達した市街地は,7つの橋で結ばれ,特に右岸の旧市街には中世の建物が多く残存する。左岸には行政官庁や博物館,美術館などが集中。スイス傭兵慰霊のライオン記念碑,17世紀の旧市庁舎などが残る。機械,繊維,食品工業や金細工が行われる。工業大学や,宗教,音楽などの専門学校がある。住民はドイツ系で,大部分カトリック。人口5万 9370 (1991推計) 。

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