プラーツ(読み)ぷらーつ(その他表記)Mario Praz

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プラーツ」の意味・わかりやすい解説

プラーツ
ぷらーつ
Mario Praz
(1896―1982)

イタリアの文芸批評家、英文学研究の泰斗。イギリスの大学で教鞭(きょうべん)をとったのちローマ大学英文学正教授の地位につく。専攻分野での豊かな結実『イギリスにおける17世紀主義とマニエリズム』(1925)、『英文学史』(1937)などのほか、西欧文化全般に及ぶ該博な知識と深い洞察を駆使した、時代嗜好(しこう)と風俗についての広範な研究がある。『ロマン主義の文学における肉体と死と悪魔』(初版1930、改訂新版1966)、『奇想主義(コンチェッティズモ)の研究』(1934)、『新古典趣味』(1959)、『家具の哲学』(1964)、『記憶の女神ムネモシュネ』(1971)などと文学、美術の両域にわたるその蠱惑(こわく)的な著作は、他の追随を許さないものがある。

[古賀弘人]

『倉智恒夫他訳『肉体と死と悪魔』(1986・国書刊行会)』『若桑みどり他訳『官能の庭』(1992・ありな書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プラーツ」の意味・わかりやすい解説

プラーツ
Praz, Mario

[生]1896. ローマ
[没]1982.3.23. ローマ
イタリアの文学史家,英文学者。リバプール大学 (1924~32) およびマンチェスター大学 (32~34) でそれぞれイタリア語,イタリア文学を講じ,その後ローマ大学英文学教授。文学ばかりでなく造形美術も数多く論じ,W.ペーター,T.S.エリオット,バレリー,ランボーなどの翻訳も多数ある。主著『英文学史』 Storia della letteratura inglese (37) ,『ロマン主義の苦悩』 La carne,la morte e il diavolo nella letteratura romantica (30,改訂版 42) ,『名声の家』 La casa della fama (52) ,『ムネモージネ』 Mnemosine (71) ,『蛇との黙契』 Il patto con serpente (72) 。

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