イタリアの文芸批評家、英文学研究の泰斗。イギリスの大学で教鞭(きょうべん)をとったのちローマ大学英文学正教授の地位につく。専攻分野での豊かな結実『イギリスにおける17世紀主義とマニエリズム』(1925)、『英文学史』(1937)などのほか、西欧文化全般に及ぶ該博な知識と深い洞察を駆使した、時代嗜好(しこう)と風俗についての広範な研究がある。『ロマン主義の文学における肉体と死と悪魔』(初版1930、改訂新版1966)、『奇想主義(コンチェッティズモ)の研究』(1934)、『新古典趣味』(1959)、『家具の哲学』(1964)、『記憶の女神ムネモシュネ』(1971)などと文学、美術の両域にわたるその蠱惑(こわく)的な著作は、他の追随を許さないものがある。
[古賀弘人]
『倉智恒夫他訳『肉体と死と悪魔』(1986・国書刊行会)』▽『若桑みどり他訳『官能の庭』(1992・ありな書房)』
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