ヘテロゲン鉱(読み)へてろげんこう(その他表記)heterogenite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘテロゲン鉱」の意味・わかりやすい解説

ヘテロゲン鉱
へてろげんこう
heterogenite

コバルト硫化物、コバルト硫砒(りゅうひ)化物を原鉱物とするその二次鉱物であるが、コバルト華のような二次鉱物を母鉱物とした分解産物として生成されることもある(酸化鉱物では唯一のCo3+の独立鉱物)。黒色塊状、粒状、針状、あるいは忍ぶ石(偽化石の一種)様の集合を構成する。自形は微細な六角短柱状のものが報告されているが、まれである。中性ないしアルカリ性の生成条件下での産物。六方・三方の2種の多型が知られている。日本では山口県美東(みとう)町(現、美祢(みね)市美東町)長登(ながのぼり)鉱山閉山)で産した六方相が少量知られるのみである。英名は、当鉱物が類似の外観をもつ二酸化マンガンなどとは成分が異なることから「異なった起源」を意味するギリシア語にちなみ命名された。

加藤 昭 2018年7月20日]


ヘテロゲン鉱(データノート)
へてろげんこうでーたのーと

ヘテロゲン鉱
 英名    heterogenite
 化学式   CoOOH
 少量成分  Ni,Fe3+,Al,Cu
 結晶系   六方・三方
 硬度    3~5
 比重    4.92
 色     黒
 光沢    亜金属,土状
 条痕    黒
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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