コバルト華(読み)こばるとか(英語表記)erythrite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コバルト華」の意味・わかりやすい解説

コバルト華
こばるとか
erythrite

コバルト(Co)の含水ヒ酸塩鉱物輝コバルト鉱のようなコバルトの硫砒(りゅうひ)化物あるいは砒化物の酸化分解によって生成される二次鉱物。多量に産すればコバルトの鉱石鉱物となる。日本では山口県美東(みとう)町(現、美祢(みね)市美東町)長登(ながのぼり)鉱山閉山)、兵庫県生野(いくの)鉱山(閉山)などから産出した。自形は平行四辺形の輪郭をもった板状。通常は微細な針状あるいは粉末ないし皮膜状。独特の紅色調が特徴である。加熱するとコバルトブルーの粉末になる。酸に溶ける。なお含コバルト硫砒鉄鉱の分解によっても生成される。英名はギリシア語で紅色を意味するerythrosにちなむ。

加藤 昭 2016年9月16日]



コバルト華(データノート)
こばるとかでーたのーと

コバルト華
 英名    erythrite
 化学式   Co3[AsO4]2・8H2O
 少量成分  Ni,Mg,Fe,Ca,Zn
 結晶系   単斜
 硬度    1.5~2.5
 比重    3.14
 色     深紫紅,桃
 光沢    ガラス
 条痕    淡紅
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コバルト華」の意味・わかりやすい解説

コバルト華
コバルトか
erythrite

(Co,Ni)3(AsO4)2・8H2O 。コバルトの鉱物。単斜晶系。柱状,粉状,粒状,皮殻状など。劈開{010}に完全。硬度 1.5~2.5,比重 2.948。紅色,紅灰白色,ガラス光沢,透明ないし半透明。コバルト鉱石の2次鉱物として産する。

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