日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘリオトロープ」の意味・わかりやすい解説
ヘリオトロープ
へりおとろーぷ
heliotrope
[学] Heliotropium
ムラサキ科(APG分類:ムラサキ科)ヘリオトロピューム属の数種の園芸上の呼び名。現在一般的にはニオイムラサキH. arborescens L.(H. corymbosum Ruiz et Pav.)が栽培される。ペルー原産の小低木で、高さ約1メートル。葉は互生し、広楕円(だえん)形で先はとがり、暗緑色。5~9月、分枝した茎頂に総状花序をつくり、濃紫色または淡紫色の小花を開く。普通、温室内で栽培し、鉢植えにして観賞する。またキダチルリソウH. peruvianum L.はペルー原産の小低木で、日本でヘリオトロープと称して古くから栽培されてきたがニオイムラサキと同一種である。コウスイソウ(香水草)、コウスイボク(香水木)ともいい、花は前種に比べるとやや小さいが、芳香が強く、香油をとる。繁殖は普通、秋または春に、排水のよい肥沃(ひよく)地に挿芽をし、冬季は5℃以上に保つ。
[山口美智子 2021年7月16日]