改訂新版 世界大百科事典 「ベストゥージェフ」の意味・わかりやすい解説
ベストゥージェフ
Aleksandr Aleksandrovich Bestuzhev
生没年:1797-1837
ロシアの作家,批評家。筆名マルリンスキーMarlinskii。近衛連隊の将校であったが,デカブリストの乱に参加して逮捕され,カフカスへ送られて山岳民との戦闘中に戦死した。文学者としてはルイレーエフとともに文集《北極星》(1823-25)を刊行してロマン主義擁護の論陣を張り,誇り高い個人が社会と衝突する小説を書いた。カフカスへの流刑後も旺盛な作家活動を続け,起伏に富む筋立てと華やかな文体の歴史小説,戦争小説によって1830年代には最も人気ある作家の一人となり,レールモントフにも影響を与えた。カフカスのエキゾティックな風俗を描いた小説《アマラト・ベク》(1832)が代表作である。
執筆者:灰谷 慶三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報