日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベニヒモイソギンチャク」の意味・わかりやすい解説
ベニヒモイソギンチャク
べにひもいそぎんちゃく / 紅紐磯巾着
[学] Calliactis polypus
刺胞(しほう)動物門花虫(はなむし)綱六放サンゴ亜綱イソギンチャク目クビカザリイソギンチャク科に属する海産動物。インド洋、太平洋に広く分布する。体高、直径ともに5センチメートルぐらいまでになり、体壁は滑らかで、下方に槍孔(やりあな)があり、そこからピンク色の槍糸(やりいと)を出す。隔膜は6環列の192対で、大小2組に明瞭(めいりょう)に分けることができない。槍糸は細長い鞭部(べんぶ)のみからなり、その基部のみに棘(とげ)をもった細い基棘刺胞(ききょくしほう)とよばれる刺胞1種のみを無数に含む。周口筋は中膠(ちゅうこう)性で非常によく発達する。第6環列の隔膜は体壁最上部にのみあって、それより下は5環列の96対となり、第1環列の6対のみが完全隔膜となる。完全隔膜には生殖腺(せん)は発達しない。触手は短くオリーブ色に白点を散布し、192~384本。通常、暖海の水深10~50メートルの岩礁にすむソメンヤドカリやサメハダヤドカリの入る巻き貝の殻に付着する。ケスジヤドカリと共生する近縁種のヤドカリイソギンチャクC. japonicaは、体壁は肌色で小豆(あずき)色の斑点(はんてん)をもち、触手は乳白色で槍糸は白い。
[内田紘臣]