ベンハイ川(読み)べんはいがわ(英語表記)Benhai

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンハイ川」の意味・わかりやすい解説

ベンハイ川
べんはいがわ
Benhai

ベトナム中部の川。西のアンナン山脈に発し、東の南シナ海に注ぐ川で、ほぼ北緯17度線に沿って流れる。全長約40キロメートル。1954年7月のジュネーブ協定では、17度線を南北ベトナムを二分する暫定的軍事境界線とすること、2年以内に平和的再統一のための自由な選挙を行うことが定められた。しかし、ゴ・ジン・ジエムがアメリカの援助によりベトナム共和国をつくったため、ベンハイ川が事実上の国境となった。当初は、川に架かるベンハイ橋を通じて、南北両側に分断された家族間の通信も認められていた。しかしベトナム戦争が激化するなかで、南北両ベトナムは国境沿いの防備を強化した。1975年北ベトナムは総攻撃を開始し17度線を突破、まもなく南ベトナムは崩壊した。現在は流域水田灌漑(かんがい)などに利用されている。

[別技篤彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベンハイ川」の意味・わかりやすい解説

ベンハイ川
ベンハイがわ
Song Ben Hai

ベトナム中部を流れる川。アンナン山脈東斜面に源を発し,東流してフエ北西約 70kmの地点で南シナ海に注ぐ。全長約 55km。北緯 17°の線とほぼ一致し,ベトナムが南北に分断されていた時期 (1954年7月~75年4月) にはその境界線となっていた。流域ではトウモロコシワタなどが栽培される。

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