日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペテルソン」の意味・わかりやすい解説
ペテルソン(Sven Otto Pettersson)
ぺてるそん
Sven Otto Pettersson
(1848―1941)
スウェーデンの海洋学者、化学者。イェーテボリに生まれ、ウプサラ大学に学んだ。19世紀末、ノルデンシェルドの北東航路啓開船ベガ号に乗船、シベリア海の海況を調査(1878~1879)した。ストックホルム大学化学教授となり(1881~1908)、1890年には北海の組織的な海洋観測を行い、北海におけるニシンの漁獲量と水温、塩分、プランクトン量などとの相関関係を初めて明らかにした。水産資源の保護・確保には国際的な協力による組織的な海洋・水産調査が必要であるとの見地から、エクマン、ナンセン、クヌーセンなどの海洋学者とはかり、1902年、初の国際海洋調査組織である「国際海洋探査協議会」(ICES:International Council for the Exploration of the Sea)を設立し、総裁(1915~1920)を務めた。海洋測器にも多くの考案があり、現在のナンセン採水器の原形は彼の考案による。
[半澤正男]
ペテルソン(Hans Pettersson)
ぺてるそん
Hans Pettersson
(1888―1966)
スウェーデンの海洋学者。S・O・ペテルソンの息子。ウプサラ大学を卒業し、イェーテボリ大学海洋学教授(1930)、同大学海洋研究所所長(1939)を務める。海水の渦動(かどう)粘性や海中沈殿物の研究など、深海海洋学についての先駆的業績が多い。1947~1948年に行われたスウェーデンのアルバトロス号による世界周航深海観測では隊長を務めた。この観測により明らかになった世界の深海の物理・化学・生物・地球物理学的知見はきわめて多く、深海海洋学という新分野を開いた画期的なものであった。また、世界的な海洋学の専門誌『Deep-Sea Research』の発刊にも尽力した。
[半澤正男]