翻訳|oceanography
海を研究の対象とする学問。陸上を対象とする学問や宇宙空間を対象とする学問に対するものである。宇宙空間などに比べると海はより身近にあるが,人類が生息する陸上からは,光も電波も届かない所が多いため,そこには未知の事柄も多い。
海洋学は,海の自然現象の研究や海水の物理的・化学的性質の探究を目ざす海洋自然科学,海と人類とのかかわりを調べる人文海洋科学,それらの研究を支援する技術や手法の研究等を包含するが,狭い意味では海洋自然科学をさす。研究の対象としての海ということばの中に,海水およびその中に含まれる物質や生物はもちろんのこと,最近では海水の容器である海底や海の蓋にあたる下層大気をも含めることが多くなった。
海についての組織的な科学的研究は,1872年より5年にわたってなされたチャレンジャー6世号の探検をもって始められたといえる。1925年に始まるメテオール号の観測は,探検型の観測から定型型の観測への転換をした点で海洋研究に第2期を画した。現象を見いだすための研究の時代から,現象についての空間構造や時間的経過を追究する時代への移行である。そして現在は,実験型の研究の時代であり,ある現象についてあらかじめ設けられた仮説を,観測,資料解析,理論を駆使して検証することを目ざしている。このようにして,現象の過程や機構を明らかにし,現象の予測を行うことがねらいである。
海洋学の分野は広いが,自然科学については,海洋物理学,海洋化学,海洋地学,海洋生物学が最も主要な柱である。海洋物理学では,海水の物理的性質とその分布および海水の運動等を,海洋化学では海水中の諸物質の化学的性質と変質過程等を,海洋地学では海底堆積物とその下方の地殻の地質・地球物理学的性質や運動等を,海洋生物学では海水中や海底の生物の生態や生理等を取り扱う。また海洋学においてもディジタル技術の果たす役割はきわめて大きく,海洋学の今後一層の進展が期待されている。
執筆者:寺本 俊彦
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※「海洋学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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