ホウカンチョウ

改訂新版 世界大百科事典 「ホウカンチョウ」の意味・わかりやすい解説

ホウカンチョウ (鳳冠鳥)

キジホウカンチョウ科Cracidaeに含まれる44種の鳥の総称。狭義にはホウカンチョウ属に含まれる12種のホウカンチョウ類を指す場合と,かつてホウカンチョウと呼ばれていたオオホウカンチョウを指す場合とがある。ホウカンチョウ科の鳥は,すべてメキシコから南アメリカにかけて分布しており,おもに森林中に生息している。キジ目の他のグループが地上生であるのとは異なり,樹上生のものが多い。体長は50~110cm,体型はキジ,ニワトリに似ており,脚と趾(あしゆび)は長くて強い。頭部に冠羽や突起のある種が多い。くちばしは短く厚い。巣は樹木の枝の上につくる。ホウカンチョウ科は,ホウカンチョウ類(英名curassow)とシャクケイ類(英名guan)に分けることができる。ホウカンチョウ類は大型で,冠羽や頭部の突起がよく発達している。シャクケイ類は,ホウカンチョウ類よりも体が細く,樹上で生活するのに適した体型をしている。餌も樹上でとることが多く,木の実や葉,昆虫などを食べる。

 オオホウカンチョウCrax rubraは,メキシコから中央アメリカ,南アメリカ北部に分布し,雄は下腹が白色,その他の部分は黒色で,体長は110cmと大型で,くちばしの上部に黄色の突起がある。雌は雄よりやや小型で,冠羽,頭部は白黒の縞模様,背面,腹面は栗色,尾羽は栗色,黒色,クリーム色の横縞がある。おもに熱帯雨林中にすみ,ねぐら,営巣は樹上だが,採餌などはおもに地上で行う。果実のなっている木の下で,落ちた果実を食べることが多い。5,6羽くらいの群れがよく観察される。日中の暑いときには,やぶの中で過ごすことが多い。1回の産卵数は2個で,1個の重さは約200gある。雌のみが抱卵し,抱卵日数は1ヵ月くらい。孵化(ふか)した雛は,その日のうちに巣を離れ,枝の上で過ごす。雛は孵化時にすでに翼がよく発達しており,3日ほどで飛べるようになる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホウカンチョウ」の意味・わかりやすい解説

ホウカンチョウ
ほうかんちょう / 鳳冠鳥
curassow

鳥綱キジ目ホウカンチョウ科に属する鳥の総称。この科Cracidaeには約45種がある。北アメリカ南部から南アメリカ中部にかけて分布し、よく茂った湿潤な森林にすむ。全体的な外観はキジやシチメンチョウに似ており、嘴(くちばし)は丸くて短く、足は長くて頑丈である。全長45~90センチメートル。大形、中形、小形の3グループに大別でき、それぞれホウカンチョウ、シャクケイ、ヒメシャクケイあるいはチャチャラカとよばれる。羽色はキジ類のようにはでではなく、黒や茶からなっているものが多い。どの種も樹上性が強いが、大形種は地上で採食することが多く、小形種はおもに樹上で採食する。食物は木の実、草の種子、昆虫、カエルなどである。繁殖習性についてはよくわかっていないが、巣は樹上に小枝を集めてつくるらしい。樹上ではすばしこく動き回るが、飛翔(ひしょう)力はあまり強くない。

[樋口広芳]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホウカンチョウ」の意味・わかりやすい解説

ホウカンチョウ

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