ホウ化物(読み)ホウカブツ

化学辞典 第2版 「ホウ化物」の解説

ホウ化物
ホウカブツ
boride

ホウ素Bは多くの元素と二元化合物をつくるが,そのうち,Bより陽性の元素との化合物をホウ化物という.製法は,
(1)単体どうしの反応,
(2)金属酸化物のBによる還元,または金属とBの酸化物をまぜて金属で還元,
(3)金属とBのハロゲン化物をまぜ,これを水素で還元,または,Bのハロゲン化物を金属で還元,
(4)金属およびBの塩混合物を溶融電解
(5)金属およびBの酸化物をまぜ,これを炭素C,または金属で還元,
(6)金属酸化物の炭化ホウ素 B4Cによる還元,
など多数ある.このうち,(4)~(6)がよく工業的に用いられる.多くは高融点で,硬く,もろく,金属光沢をもつものが多い.B含量の多いものは半金属性,少ないものはむしろ金属性がある.電気伝導性が大きいものが多く,強磁性超伝導,磁性超伝導などの性質をもつものがある.化学的に安定で,多くは水,酸,アルカリに侵されないが,ホウ化マグネシウム Mg3B2のように希酸でボランを発生するものもある.化合物により,それぞれ,耐火耐熱,耐化学薬品材,切削具,電子材料(LaB6は熱電子放射材),超伝導材(MgB2)などに用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホウ化物」の意味・わかりやすい解説

ホウ化物
ホウかぶつ
boride

ホウ素とそれより電気陰性度の低い元素 (すなわち金属) との化合物をいう。リンヒ素などの準金属元素とホウ素の化合物もホウ化物と呼ばれることが多い。一般に硬く,難融解性物質で化学的には不活性。異常な物理的,化学的性質を示すことが多い。たとえば,ホウ化ジルコニウムホウ化チタンの電気伝導度,熱伝導度はそれら金属自身の値の 10倍程度大きく,融点は 1000℃。六ホウ化希土類元素のうちには熱イオン放射体としてすぐれたものがあり,リンおよびヒ素のホウ化物は高温半導体として有望で,準金属ホウ化物には異常に高い化学的安定性を示すものが少くない。工業的には炭素と炭化ホウ素混合物による金属酸化物の還元,溶融塩電解,元素間の直接反応などにより製造する。組成的には通常の原子価概念に一致しないもの,不定比化合物が多くみられる。

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