ホシミドロ(英語表記)Zygnema

改訂新版 世界大百科事典 「ホシミドロ」の意味・わかりやすい解説

ホシミドロ
Zygnema

水田池沼などに生育する緑色,毛状の藻類で,アオミドロに似るが葉緑体星形である点で区別される,緑藻綱ホシミドロ科の淡水藻の1属。アオミドロと同様に,雌雄の2個体が接合管で連結し,細胞内容が移動して接合する有性生殖を行う。日本では約25種が知られる。種の分類は,接合子がつくられるのが接合管内か雌性配偶子囊内か,接合子の色調は黄褐色か藍色または無色か,接合子の細胞壁小孔模様があるかないか,小孔の大きさはどのくらいかなどによってなされている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホシミドロ」の意味・わかりやすい解説

ホシミドロ(星水泥)
ホシミドロ
Zygnema

緑藻類接合藻類ホシミドロ目ホシミドロ科の淡水藻。水田や湿原のたまり水などに生じる微細な糸状藻。細いものでは直径6~10μm,太いものでは 30~40μmの円筒形の細胞が縦に長くつながって糸状になる。各細胞には中央に1核,それをはさんで星状の形をした葉緑体が2個あり,葉緑体のほぼ中央には顕著な核様体がみられる。無性的な細胞が横断的に分裂して糸状体は伸長,増殖する。有性生殖は,相隣の糸状体と各細胞ごとに接合管によって連結し,一方より他方に細胞内容がすべて移行して接合し,その結果楕円状で褐色の厚膜に包まれた接合子となる。これは休眠ののちに発芽し,再び糸状体となる。この属には約 100種に及ぶものが記録され,全世界に分布している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホシミドロ」の意味・わかりやすい解説

ホシミドロ
ほしみどろ
[学] Zygnema

緑藻植物、接合藻類の一属の総称1本の糸につながった円筒形の細胞内には、星形の葉緑体が中央の核を挟んで2個入っている。和名はこの星形に由来する。日本各地の湖沼や池、水たまりにみられる代表的な淡水藻である。

小林 弘]

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世界大百科事典(旧版)内のホシミドロの言及

【アオミドロ】より

…体は細い管状の細胞が1列に連結してできており,細胞内にらせん形の葉緑体をもつ。形状の似た仲間に星状の葉緑体をもつホシミドロ属Zygnema,板状の葉緑体をもつヒザオリMougeotiaがある。この仲間の有性生殖はいわゆる接合で,2個の細胞間にできた接合管を通って一方の細胞の内容物が移動して他方の細胞内容物と合体する。…

【アオミドロ】より

…水田や池沼などに普通に生育する緑色の毛状のホシミドロ科アオミドロ属の藻類の総称名。世界に約300種,日本だけで80種以上が知られ,いたるところの陸水域に生育する。…

※「ホシミドロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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