日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ボアロー・ナルスジャック
ぼあろーなるすじゃっく
Boileau Narcejac
フランスの推理作家。ピエール・ボアローPierre Boileau(1906―89)とトーマス・ナルスジャックThomas Narcejac(1908―98)のチームによるペンネーム。サスペンスとトリックを兼ね備えた作品を特徴とし、ボアローがトリック作りで、ナルスジャックはサスペンス作りを得意としていたようである。チーム結成前はそれぞれ単独で執筆活動をしており、ボアローの『三つの消失』やナルスジャックの『死者は旅行中』などのような本格ものを書いて権威ある賞をかちとっている。またナルスジャックは推理小説の評論でも活躍していた。1952年発表の初めての共作『悪魔のような女』が評判を得て、映画化され大ヒットした。『影の顔』『死者の中から』『呪(のろ)い』『銀のカード』など佳作ぞろいである。
[梶 龍雄]
『三輪秀彦訳『影の顔』、日影丈吉訳『死者の中から』(ハヤカワ・ミステリ文庫)』▽『岡田正子訳『銀のカード』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)』