ボイセン・イェンセン(読み)ぼいせんいぇんせん(英語表記)Peter Boysen Jensen

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボイセン・イェンセン」の意味・わかりやすい解説

ボイセン・イェンセン
ぼいせんいぇんせん
Peter Boysen Jensen
(1883―1959)

デンマークの植物生理学・生態学者。コリング近郊の農家の出身。コペンハーゲン大学に学ぶ。同大学助手、講師を経て、1927年、ヨハンセン後任として植物生理学教授に就任、1948年まで在職した。学生時代からエンバク子葉鞘(しょう)の向日性屈性)を研究し、植物成長ホルモンの存在を明らかにした(1910)。また緑色植物の成長を同化量呼吸量の収支、同化産物の分配の面から解析し、生産生態学の基礎を確立した(1910)。海洋生物学者ペテルセンC. G. J. Petersen(1860―1921)に協力して底生動物の食物連鎖の定量的研究を行った(1911~1920)。

 主著に『植物の物質生産』(1932)、『成長素説ならびに植物の成長と成長運動の解析に対するその意義』(1935)、『生けるもの』(1951~1953)などがある。

[檜木田辰彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボイセン・イェンセン」の意味・わかりやすい解説

ボイセン=イェンセン
Boysen-Jensen, Peter

[生]1883.1.18.
[没]1959.11.21.
デンマークの植物学者。コペンハーゲン大学に学び,のち同大学教授。植物の屈光性に関して,子葉鞘などの先端部で光を感じること,その刺激が子葉鞘の中を下降することが C.ダーウィンによって明らかにされていた (1880) が,刺激の実体ならびに伝達機構については未解決のままだった。ボイセン=イェンセンはエンバクの子葉鞘を材料にこの問題に取組み,子葉鞘を途中で切断したうえゼラチン層を挿入しても,屈光刺激がこの層を貫いて伝わることを発見し,拡散による物質の移動によって屈光刺激が伝わるという結論を出した (1910) 。ゼラチン層挿入という実験手法,および物質移動による刺激伝達という発想は,植物ホルモンの発見への道を開くこととなった。彼はまた,植物個体や群落について,光合成による炭素獲得量から呼吸や落葉などによる炭素消費量を差引いた値を純生産量と呼び,これに対する光などの環境要因の働き方を調べた (32) 。これは,生物による物質生産を基準にして生物と環境との関係をとらえる新しい視点を開くもので,物質生産の生態学の基礎を築いた。

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