改訂新版 世界大百科事典 「ボヘミア盆地」の意味・わかりやすい解説
ボヘミア盆地 (ボヘミアぼんち)
Bohemia Basin
チェコ共和国北西部,標高1000~1500mの山地に囲まれた盆地。約200km四方に広がる起伏の多い高地で,ラベ(エルベ)川,その支流のブルタバ川,ベロウンカBerounka川などの流域地帯。東部はチェスコ・モラフスカ(ボヘミア・モラビア)高地でチェコ共和国のモラビア地方と分断され,残りの三方はチェスキー・レスČeský lesとシュマバŠumava山脈(〈ボヘミア森Böhmerwald〉と総称される),クルシュネー・ホリKrušné hory(エルツ)山脈,クルコノシェKrkonoše(リーゼン)山脈によって囲まれ,オーストリア,ドイツ,ポーランドとの国境を形成している。気候は大陸性で,中心都市プラハの年平均気温が9.6℃,平均年降水量は332mmとかなり乾燥している。盆地は全体として南部では起伏が激しく(400~800m),河川は蛇行して航行に適さず,土地もやせている。北部はラベ川の流域にあたり,土地も低く,広々とした平野が多い。南部ではライ麦,ジャガイモが,北部では小麦,ビート,ホップ,大麦などがおもに収穫される。また南部では地形的に小湖沼が数多く発達し,淡水漁業(鯉の養殖)が行われ,北部では北部山岳地帯の豊かな鉱物資源を利用して鉱工業が集中し,チェコ経済全体をリードする役割を果たしている。
執筆者:稲野 強
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報