日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャネル」の意味・わかりやすい解説
シャネル
しゃねる
Gabrielle Chanel
(1883―1971)
フランスの服飾デザイナー。20世紀を代表するデザイナーの一人。愛称ココ・シャネル。帽子デザイナーから出発し、第一次世界大戦後の社会変化を反映した、機能的でシンプルなジャージーの服を発表し、新しい女性らしさの概念を打ち出した。1920年から1930年代にかけて活躍し、ピカソ、コクトーら芸術家から、貴族までの多彩な交友は有名。第二次世界大戦後、創作活動を休んでいたが、1954年カムバックすると、1960年代の世界的なシャネル・スーツのブームを起こし、死の直前まで、パリ・モード界の女王として君臨した。彼女の一貫した「働く女性のための服」というファッション哲学は、カーディガン・タイプのいわゆる「シャネル・スーツ」を生み、これは20世紀女性服のプロトタイプとして高く評価される。装飾性を重視したコスチューム・ジュエリーの発想、オートクチュールの名をつけた香水「シャネル5番」の発売なども彼女の業績である。1983年以来シャネル店のデザイナーに任命された、カール・ラガーフェルドKarl Lagerfeld(1933―2019)により、ふたたび世界的にシャネル・スーツ・ブームが起こった。
[深井晃子]