ロシア(ソ連)の作家。モスクワに生まれ、トベリ(トベリ州の州都)で少年時代を送る。最初の著書『シラミ男の回想』(1927)は、わずか18歳の時にトベリの地元紙編集長の依頼を受け、町の犯罪社会に潜入し取材して書いたルポルタージュをまとめたもので、ゴーリキーに賞賛された。社会主義建設のために燃える労働者たちを描いた中編『熱い工場』(1939)で、作家として知られるようになる。1940年に共産党員となり、1941年にモスクワに移る。第二次世界大戦中は『プラウダ』紙の従軍記者として働いた。
ポレボイの名前を一躍高めた代表作は、『真実の人間の物語』(1946)。これは両足を失いながらも不屈の闘志で生き抜き、ふたたび戦闘機を操縦できるようになって戦い続けた飛行士の実話に基づいた作品で、ポレボイはこれをニュルンベルク裁判の際にわずか19日で書き上げた。この作品はスターリン賞を受賞、多くの外国語に訳され(日本語訳は1952年)、社会主義リアリズム文学の代表作として国際的にも広く知られた。プロコフィエフはこれを原作としてオペラを書いた。出版は180版以上を数え、出版部数は累計で1000万部近い。
その他の作品としては、戦争を題材とした短編集『われらソビエト人』(1948。スターリン賞受賞)、勇敢な女性タイピストの活躍を描いた長編『金』(1950)、トベリの医師一家の年代記長編『銃後の奥』(1958)、ドイツ占領地で生き抜く女性を主人公とした長編『医師ベーラ』(1966)など。またアメリカや中国の旅行記や、回想記『シルエット』(1978)、『忘れがたき人々』(1980)もある。1962年から終生文芸誌『青春(ユーノスチ)』の編集長を務めて新人発掘に尽力し、1967年にはソ連作家同盟書記に就任した。ポレボイの書くものは一貫してジャーナリスト的で、大部分の作品が実在の人物や事件に題材をとっているが、史実の精確さや登場人物の心理的な深みには欠けるうらみがある。
[沼野充義]
『吉原武安訳『真実の人間の物語』(1952・青銅社)』
ロシアの小説家、歴史家、ジャーナリスト。商人階級出身。1820年代には主宰する雑誌『モスクワ電信』に論陣を張り、ロシア・ロマン主義およびロシアの近代文芸評論の発展に寄与した。代表作は貴族社会におけるロシア・ブルジョアジーを描いた『アバドンナ』(1834)。ほかに、カラムジンに対抗して書いた大著『ロシア国民史』がある。
[藤家壯一]
ソ連邦の小説家。本名カンポフB.N.Kampov。ジャーナリスト出身。中編《熱い職場》(1939)でデビュー。《真実の人間の物語》(1946)で文名を確立したが,重傷を負った空軍将校が超人的努力で任務に復帰するこの小説は,肯定的人間像を強く求めたジダーノフ体制に最適の作品であった。ほかに短編集《われら--ソ連人》(1948),長編《荒れた岸辺で》(1962),《ドクトル・ベーラ》(1966),旅行記《アメリカ日記》(1956)などがある。
執筆者:原 卓也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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