ベントリー(読み)べんとりー(英語表記)Arthur Fisher Bentley

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベントリー」の意味・わかりやすい解説

ベントリー(Arthur Fisher Bentley)
べんとりー
Arthur Fisher Bentley
(1870―1957)

アメリカの政治学者、社会学者、論理学者、哲学者。ジョンズ・ホプキンズ大学で経済学と社会学を学び、卒業後ドイツに留学ジンメル、グンプロビッチらの影響を受けた。母校で博士号を得たのち、1895年から1年間シカゴ大学の社会学講師となり、J・デューイを知り、生涯親交を続けた。1896年以降シカゴで新聞人となり、1910年以降インディアナ州の片田舎(いなか)で自営業につきながら研究と執筆を行った。主著『統治過程論』(1908)では、徹底した機能主義見地で「集団間の圧迫抵抗」を描き、圧力を通じての調整が政治過程であるとした。相対性原理から影響を受けた社会認識論は『人間と社会の相関性』 (1926)に示され、ほかにデューイとの共同作業による論文も数編ある。

[小林丈児 2015年10月20日]

『田口富久治著『社会集団の政治機能』(1969・未来社)』


ベントリー(Edmund Clerihew Bentley)
べんとりー
Edmund Clerihew Bentley
(1875―1956)

イギリスのジャーナリスト、ユーモア詩人、推理作家。ジャーナリストとして多才な執筆活動を続けるかたわら、政治風刺詩を『パンチ』誌などに寄稿し、人物名を頭に織り込んだ四行詩クレリヒュー(彼のセカンド・ネーム)を考案した。五行戯詩で有名なリメリックに比すべき詩の形体である。1913年、それまでの毒々しく通俗的な推理小説に対する軽い批判を込めて『トレント最後の事件』を発表し、近代推理小説の里程標となった。落ち着いて品よく、的確に人間の感情と性格が描写され、そのなかに推理小説の意外性が豊富に伏せられている。その23年後にもう一つの長編『トレント自身の推理』(1936)をハーバート・ワーナー・アレンHerbert Waner Allenと共作したが、そのほかは数少ない短編しか残されていない。

[梶 龍雄]


ベントリー(Wilson Alwyn Bentley)
べんとりー

ベントレー

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベントリー」の意味・わかりやすい解説

ベントリー
Bentley, Arthur Fisher

[生]1870.10.16. イリノイフリーポート
[没]1957.5.21. インディアナ,バオリ
アメリカの政治社会学者,哲学者。ジョンズ・ホプキンズ大学で経済学と社会学を専攻した。のち,1894~95年ドイツに留学し,G.ジンメル,R.イェーリングらの思想的影響を受けた。 95~96年シカゴ大学社会学講師をつとめ,J.デューイと交わった。その後 1910年までジャーナリスト。以後バオリに住んで自営業を営むかたわら研究生活。この間,24年の大統領選挙には,R.ラフォレットの支持者として政治活動にもかかわった。 41~42年コロンビア大学哲学客員教授。主著『政治過程論』 The Process of Government (1908) は政治学の関心の中心に初めて社会的集団 (圧力団体など) の行動をおくことによって,後年の政治学の制度論からの離脱を運命づけた。

ベントリー
Bentley, Richard

[生]1662.1.27. ヨークシャー,オールトン
[没]1742.7.14. ケンブリッジ
イギリスの古典学者。ケンブリッジ大学卒業。ジョン・ミルの要請によりマララス『年代記』の校本を調査,その報告書『ミルへの手紙』 Epistola ad Millium (1691) によって名をなした。 1699年には『ファラリス書簡集論』 Dissertation upon the Epistles of Phalarisを発表して,『ファラリス書簡集』が偽書であることを証明した。 1700年母校トリニティ・カレッジの学寮長。ホラチウスとマニリウスの作品の大胆な本文校訂 (1711,39) が最大の業績。

ベントリー
Bentley, Eric

[生]1916.9.14. ボールトン
イギリス生れのアメリカの劇評家,演出家。コロンビア大学教授。主著『思索家としての劇作家』 The Playwright as Thinker (1946) ,『バーナード・ショー』 Bernard Shaw (47) ,『演劇とは何か』 What Is Theatre? (56) ,『ドラマの生命』 The Life of the Drama (64) 。

ベントリー
Bentley, John Francis

[生]1839.1.30. ドンカスター
[没]1902.3.2.
イギリスの建築家。建築技術,施工を学び,1862年頃から公共建築の設計,ロンドン中心部や南部のクラファムなどで特に聖堂の内部デザイン,増改築に従事。1895年,ロンドンのウェストミンスター大聖堂の建築家に任じられ,イタリア・ビザンチン様式を取り入れた。

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