ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マクダニエル」の意味・わかりやすい解説
マクダニエル
McDaniel, Hattie
[没]1952.10.26. カリフォルニア,ハリウッド
アメリカ合衆国の女優,歌手。アフリカ系アメリカ人で初めてアカデミー賞を受賞した女優として知られる。コロラド州デンバーに育ち,1910年からミンストレルの巡業公演に出演。のちにアメリカのラジオで初めて声が放送された黒人女性の一人となる。1932年に映画デビュー。ジョン・フォード監督の『プリースト判事』Judge Priest(1934)で初めて大役に抜擢され,ユーモア俳優ウィル・ロジャーズとデュエットした。『小聯隊長』The Little Colonel(1935)で南部出身の陽気な召し使い役を演じると,ハリウッド映画の型にはまった黒人描写に反対する黒人コミュニティ内のリベラル勢力の間で議論の的となる。『風と共に去りぬ』Gone with the Wind(1939)のマミー役でアカデミー賞助演女優賞を受賞。アフリカ系アメリカ人初の快挙を達成し,人々の記憶に残ることになった。第2次世界大戦末期になると,全国有色人種向上協会 NAACPなどの団体がハリウッドに対し,型にはまった配役の撤廃を求めてロビー活動を展開。この動きにより,マクダニエルの映画出演は減ることになる。しかしラジオ界は反応が鈍かったため,1947年からシチュエーション・コメディ "The Beulah Show"にメード役で主演。全人種向けに制作されたラジオ番組で,アフリカ系アメリカ人として初めて主役を務めた。1952年乳癌で死去した。
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