マコーレー(読み)まこーれー(英語表記)1st Baron Macaulay, Thomas Babington Macaulay

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マコーレー」の意味・わかりやすい解説

マコーレー(1st Baron Macaulay, Thomas Babington Macaulay)
まこーれー
1st Baron Macaulay, Thomas Babington Macaulay
(1800―1859)

イギリスの歴史家、政治家。奴隷制廃止運動を行った人道主義的改革派のザカリー・マコーレーZachary Macaulay(1768―1838)の長男として生まれ、ケンブリッジ大学に学ぶ。1826年『エジンバラ・レビュー』誌にミルトン論を発表して以後、多数の評論を執筆。その間1830年にホイッグ党所属の下院議員となり、1834年から1838年にかけてはインドで西洋式教育制度の導入や刑法典起草に尽力した。帰国後メルバーン内閣の陸相も務めたが、このころから『イギリス史』(全五巻)の執筆を始め、1848年に第1、2巻を発表して大成功を博した。イギリス史の流れを自由の着実な前進過程として描く彼の歴史観は「ホイッグ史観」とよばれ、イギリス史の見方に大きな影響を与えた。1857年、男爵位を与えられた。

青木 康]


マコーレー(Dame Rose Macaulay)
まこーれー
Dame Rose Macaulay
(1881―1958)

イギリスの女流小説家。幼児期イタリアで過ごし、オックスフォード大学卒業。キリスト教的視点からする知的、風刺的な作品を書く。代表作トレビゾンドの塔』(1956)は喜劇的な小説で、一見トルコでの冒険談のようにみえるが、著者の生涯を通じての関心事信仰旅行、愛、人間関係を探ったもの。一時「ブルームズベリー・グループ」に属した。ほかに『E・M・フォースター論』(1938)や三冊の詩集がある。

[小野寺健]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マコーレー」の意味・わかりやすい解説

マコーレー
Macaulay, Thomas Babington

[生]1800.10.25. レスターシャー,ロスリーテンプル
[没]1859.12.28. ロンドン
イギリスの歴史家,政治家。ケンブリッジ大学に学ぶ。名誉革命を中心主題とした『イギリス史』 History of England (5巻,1848~61) の著者として知られる。ホイッグ党を支持し,自由主義史観の立場から,ウィリアム3世を希代の名君とたたえている。ほかに『ミルトン論』 Milton (1825) ,古代ローマ民謡復元の試みである『古代ローマの歌』 Lays of Ancient Rome (1842) ,『評論集』 Essays (1843) などがある。他方,国会議員となり,インド総督顧問,陸軍大臣などの要職についた。

マコーレー
Macaulay, Dame Rose

[生]1881.8.1. ラグビー
[没]1958.10.30. ロンドン
イギリスの女流作家。オックスフォード大学に学ぶ。若い頃イタリアを旅行,その体験が処女作『谷間の捕虜』 The Valley Captive (1911) となった。『白痴の話』 Told by an Idiot (23) などにみられる中流階級の風刺がその本領である。

マコーレー
Macaulay, Zachary

[生]1768
[没]1838
イギリスの博愛主義者,奴隷制廃止運動家。 1793~99年シエラレオネのイギリス植民地総督。福音主義信仰者で,イギリスの奴隷貿易廃止を主張,機関紙の編集や反奴隷制協会の設立に尽力した。 T.B.マコーレーの父。

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