ベンティンク(その他表記)William Henry Cavendish Bentinck

改訂新版 世界大百科事典 「ベンティンク」の意味・わかりやすい解説

ベンティンク
William Henry Cavendish Bentinck
生没年:1774-1839

イギリスのインド行政官。マドラス知事(1803-06),ベンガル総督(1828-33)を経て,初代インド総督(1833-35)。インド統治の効率化と,西欧的原理のインド社会への導入などを図って,さまざまな改革を行った。彼は,赤字だったインド財政を黒字化する一方,行政,警察,裁判の機構の改革や地税の課税基準の緩和を行い,行政や裁判へのインド人の採用を増大させた。さらに,インド人への英語教育を推進するとともに,ラーム・モーハン・ローイなどに協力して,寡婦焚死(サティー)の慣行禁止(1829)したことは有名である。また,マイソール藩王国の行政権を掌握し,クールグを併合した。
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百科事典マイペディア 「ベンティンク」の意味・わかりやすい解説

ベンティンク

英国のインド総督首相を務めたポートランド公の次男。陸軍勤務ののち,1803年マドラス知事(−1806年),1828年ベンガル総督を経て1833年初代インド総督となった。その統治においてはインド人官吏を採用してその関与を認めながら,ヨーロッパ的な原理をインドに導入することを旨とし,のちの歴史家マコーレーなどの顧問を招いて行政・司法・警察などの機構改革を行い,英語教育の徹底をはかった。一方,寡婦焚死(サティー)の慣習を禁止し,宗教的暗殺団の解散を断行した。1837年帰国後,下院議員となる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベンティンク」の意味・わかりやすい解説

ベンティンク
Bentinck, Lord William (Henry Cavendish)

[生]1774.9.14. バルストロード
[没]1839.6.17. パリ
イギリスの軍人,イギリス領インドの政治家。マドラス管区知事 (1803~07) をつとめたのち,シチリア駐在イギリス軍司令官となったが再びインドに渡り,1828年ベンガル総督となり,33年ベンガル総督がインド総督と改名されると,そのまま初代インド総督となった (33~35) 。彼の行なった施策サティー (寡婦殉葬) の全面的廃止,インド人の官吏任用,その他財政,司法,教育などの改善がある。帰国後,下院議員。

ベンティンク
Bentinck, Lord (William) George (Frederick Cavendish)

[生]1802.2.27. ノッティンガムシャー,ウェルベック
[没]1848.9.21. ノッティンガムシャー,ウェルベック
イギリスの政治家。4代ポートランド公爵の第5子。数年間陸軍に勤務したのち,1828~48年下院議員。初めホイッグ党であったが,次第にトーリー党に移行。 R.ピールの穀物法撤廃法案に反対して,保守党内の保護貿易主義者を結集して法案成立阻止に専念した。政治家としての能力を十分発揮しないうちに急死。

ベンティンク

「ポートランド(伯)」のページをご覧ください。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ベンティンク」の解説

ベンティンク
William Cavendish Bentinck

1774~1839

イギリスの植民地行政官。マドラス管区知事(在任1803~07),ベンガル総督(在任1828~34),インド総督(在任1834~35)を歴任。イギリス支配の安定期の総督として,開明的・進歩的政策を試みた。サティーの禁止は著名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンティンク」の意味・わかりやすい解説

ベンティンク
べんてぃんく
William Cavendish Bentinck
(1774―1839)

イギリスの貴族、軍人。東インド会社のベンガル総督およびインド総督(在任1828~35)。インド統治上では県収税官と県判事との兼職制の実施、下級行政・司法職へのインド人登用、北西州の地租行政の整備、寡婦殉葬(サティー)慣行の禁止など一連の改革と、シンド諸領邦およびパンジャーブのシク王国との外交通商関係の締結、アフガニスタンの王位継承への介入準備とで知られる。任後下院議員に選ばれた。

[高畠 稔]

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