改訂新版 世界大百科事典 「マヒンダ」の意味・わかりやすい解説
マヒンダ
Mahinda
前3世紀後半,スリランカに初めて仏教を伝えた人。生没年不詳。マウリヤ朝のアショーカ王の子で,母はウッジャインの富豪の娘デービー。20歳のとき,モッガリプッタ・ティッサを師として出家した。アショーカ王が即位して17年目に,各地に伝道者が派遣されたが,彼はそのときイッティヤやスマナらを率いてスリランカに赴いた。32歳であった。スリランカでは,デーバーナムピヤティッサ王(在位,前247-前207)の帰依を得て,マハーメーガバナ(大雲園)を寄進され,ここにマハービハーラ(大寺)を建立し,拠点とした。王との最初の会見地であるミッサカ山(ミヒンタレー)には68の石窟寺院を建立して雨季の修行場とし,またアショーカ王より釈迦の鎖骨舎利と鉢を得てナンダ園に安置するなど,30年間伝道活動を続け,ウッティヤ王の即位第8年目に80歳で没した。スリランカ開教の功績をたたえて,〈島に明りをつけた人〉ともいわれる。
執筆者:田中 教照
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報