日本大百科全書(ニッポニカ) 「マリオネット」の意味・わかりやすい解説
マリオネット
まりおねっと
marionette
人形劇の一形式。糸操り人形string puppetをさす名称だが、ときには多様な人形劇の総称としても使われる。関節が自由に動く人形を、糸受けにつけた糸で吊(つ)り下げ、上から操る。糸は通常9本くらい、人形により1、2本から20本前後まで多様。糸受けは吊手(つりて)、コントローラーともよばれ、構造も種々ある。古い形式には、鋼鉄線で吊り下げたもの、鉄線と糸との複合で操作するものもある。語源は、フランスの女性名マリオンの愛称、小さな聖母マリアからの転化など定説はない。ヨーロッパでは伝統人形劇の主流をなし、インド、中国などでも古くから行われた。日本では江戸時代南京(ナンキン)操りともいわれたが、舞台的発達は明治以後で、昭和初期、現代人形劇の黎明(れいめい)期には主流であった。
[川尻泰司]