パンチ(英語表記)punch

翻訳|punch

デジタル大辞泉 「パンチ」の意味・読み・例文・類語

パンチ(punch)

[名](スル)
紙や切符などに穴や型を打ち抜くこと。また、それに用いるはさみや器具。「乗車券をパンチする」
穿孔せんこう機で、一定の方式に従ってテープやカードに情報を表す穴をあけること。
ボクシングで、相手を打つこと。げんこつで、相手を強打すること。打撃。転じて、攻撃。非難。「パンチを食わす」「先頭打者ホームランという先制パンチを食らう」「会談冒頭から政治と金の問題で先制パンチを繰り出す」
人の心や感覚を刺激する力や勢い。「パンチのきいた音楽」
ガス抜き2
[類語](2穿孔鑽孔ボーリング掘削/(3殴打打擲袋だたき打撲打撃攻撃非難批判

パンチ(punch)

ポンチ

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精選版 日本国語大辞典 「パンチ」の意味・読み・例文・類語

パンチ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] punch )
  2. 紙などに用具を用いて特定の形の穴をあけること。また、その用具。切符に切れ目を入れるはさみや書類などのつづり穴をあける器具など。〔舶来語便覧(1912)〕
    1. [初出の実例]「一区の切符へパンチを入れた」(出典:美しい女(1955)〈椎名麟三〉一)
  3. ボクシングで、相手を打つこと。また一般に、げんこつでなぐること。
    1. [初出の実例]「彼女の高慢ちきな顔に、グワンと一撃、〈略〉物凄いパンチをお見舞いして」(出典:モダン学十二講(1933)スポーツ〈平田信〉)
  4. 相手に強烈な印象・刺激を与える力や勢い。迫力。「パンチの効いた文章」
    1. [初出の実例]「論としては一応筋の通っているパンチだけに、亭主はなんの反論もなくなる」(出典:男の遠吠え(1974‐75)〈藤本義一〉新妻と新災)

パンチ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] punch ) ブランデー、ラム酒などに砂糖、ソーダレモン汁類を加えて作った飲み物。ポンチ。ポンス。
    1. [初出の実例]「甘ったるいパンチのような飲み物で」(出典:明日への楽園(1969)〈丸山健二〉五)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パンチ」の意味・わかりやすい解説

パンチ(漫画週刊誌)
ぱんち
Punch

イギリスで発行された世界でもっとも古い風刺漫画週刊誌。1841年創刊。政治、社会、国際情勢とくにアメリカそのものを、一流の漫画家や作家を起用して、約160年間にわたって辛辣(しんらつ)に風刺し、揶揄(やゆ)してきた。漫画家や作家にとって、同誌に起用されることは、一流の作家として認められたことを意味した。とくに毎週水曜日に開かれた編集企画会議に出席し、『パンチ』の象徴となっているテーブル(マホガニー・ツリーとよばれた)に自分のイニシアルを自分で彫るという栄に浴したいと、だれもが願ったのである。W・サッカレー、A・A・ミルン、J・サーバーといった作家たちや、J・リーチ、チャールズ・キーン卿(きょう)といった漫画家たちは、その数少ないなかの一人であった。2002年廃刊となった。『パンチ』は日本にもすでに明治初期に紹介され、模倣され、漫画のことをポンチ絵とよんだ。

[青木日出夫]

『谷田博幸著『ヴィクトリア朝挿絵画家列伝――ディケンズと「パンチ」誌の周辺』(1993・図書出版社)』『リチャード・ドイル著、富山太佳夫編訳『挿絵の中のイギリス』(1993・弘文堂)』『三宅興子著『もうひとつのイギリス児童文学史――「パンチ」誌とかかわった作家・画家を中心に』(2004・翰林書房)』『松村昌家編『「パンチ」素描集――19世紀のロンドン』(岩波文庫)』


パンチ(アルコール飲料)
ぱんち
punch

混成アルコール飲料の一種。語源はヒンディー語のpānch、サンスクリット語のpāncanからきている。いずれも「5種」の意味で、アラック、砂糖、スパイス、水、レモンジュースの五つの材料を混合してつくったものをさす。現在は5種に限定せず、処方は非常に多い。元来パンチは温かくして飲むものであったが、19世紀ころから冷たくして飲まれるようになった。パーティー用飲み物として多人数用につくられることが多く、最近家庭におけるパーティーでも飲まれるようになった。

[原 昌道]

作り方

クラレットパンチの場合、25人分として、レモンジュース150ミリリットル、キュラソー45ミリリットル、赤ワイン3本、炭酸水5本、砂糖250グラムを用意する。パンチボウルの中で砂糖とレモンジュースを混ぜ、氷を加え、赤ワインやキュラソーを加える。オレンジスライスチェリーで飾り、飲む直前に炭酸水を加え、パンチグラスに注ぐ。

[原 昌道]

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改訂新版 世界大百科事典 「パンチ」の意味・わかりやすい解説

パンチ
punch

パーティのときなどに,パンチボールとよぶ大きな器で大量につくり,グラスに注ぎわけて飲む混合飲料。インドに始まったといわれ,酒,水,砂糖,果物,香料の5品の材料を用いたので,5種を意味するサンスクリットのパンチャ,ヒンドゥー語のポンシュ,ペルシア語のパンジなどが語源とされ,スペイン人やイギリス人によってヨーロッパに伝わった。今ではこれにはあまりこだわらず,さまざまな作り方をしている。ワイン,ブランデー,ウィスキー,ラムなどに果汁,リキュール類,シロップを加えて味をととのえ,フレーバーと彩りを添えるために,オレンジ,レモン,リンゴ,モモそのほか季節の果物をスライスして浮かせる。よく冷やしておき,パーティの始まるときに大きな氷塊を中に入れ,よく冷えたシャンパンや炭酸水でうすめて飲みやすくする。ボールは目だつところにおき,花でまわりを飾り,パーティを盛り上げる彩りとする。またプロヒビション・パンチprohibition-punchといって,アルコール分をまったく含まないものもある。濃い紅茶,各種果汁,シロップ,果物をつかい,アルコールを飲めない人向きにつくる。フルーツ・パンチ(フルーツ・ポンチとも)は各種フルーツをきざんでグラスに盛り,シロップなどを注ぐ。
執筆者:


パンチ
Punch, or the London Charivari

1841年ロンドンで創刊以来長い伝統を誇るイギリスの絵入り週刊風刺雑誌。《パンチ》とは,かつて街頭の舞台で演じられたパンチとジュディの人形劇からとり,副題の《ロンドン・シャリバリ》は,発案者のランデルズEbenezer Landellsが,パリで発行されていた雑誌《パリ・シャリバリ》からヒントを得てつけられた。風俗,世相,政治その他を上品に風刺する文章に1こま漫画がふんだんに挿入された。《パンチ》には,常にその時代最高の文学者と画家が参加していた。例えばH.メーヒューやサッカレー(画家としても腕をふるった)が文章で,ジョン・テニエル,リチャード・ドイル(コナン・ドイルの伯父)が絵画でその紙面を飾っていた。まさにイギリスのユーモアの典型と目されている。なお,日本で風刺漫画を意味する〈ポンチ絵〉の名称はこの雑誌に由来する。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「パンチ」の意味・わかりやすい解説

パンチ

英国の絵入り週刊誌。1841年創刊。現存する漫画雑誌のうち最古のもので,政治風刺とユーモア,文芸評論で世界的に有名。《ロンドン・シャリバリ》(副題)ともいう。風俗から政治までを風刺する巧みな文章と1こま漫画が特徴だが,文章ではH.メーヒューやサッカレー,絵にはジョン・テニエル,リチャード・ドイル(コナン・ドイルの伯父)が腕をふるっていた。日本語の〈ポンチ絵〉はこの雑誌に由来。
→関連項目サールミルン

パンチ(飲料)【パンチ】

ポンチ,ポンスとも。ブランデー,ウィスキー,ラム酒などの洋酒と果汁,炭酸水,砂糖などの混合飲料。軽く甘いのが特徴。パーティーの飲物とすることが多く,大きなパンチボールに入れ,手つきのパンチグラスに取り分ける。果実を入れたフルーツ・パンチ(フルーツ・ポンチとも)が一般的。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パンチ」の意味・わかりやすい解説

パンチ
Punch, or the London Charivari

イギリスの週刊誌。 1841年創刊。戯文作家のマーク・レモンを中心にして編集が行われたが,のちにはサッカレーや T.フッドも参加した。風刺的な絵 (いわゆるポンチ絵) と文章で有名。初期の頃は政治的な急進主義を掲げた。誌名は人形劇「パンチとジュディ」からとられ,副題の「シャーリバーリ」はすでにパリで発行されていた同種の雑誌からかりたもので,原義は新婚夫婦をひやかすために,その家の前で金だらいや鍋をたたいて騒ぎ立てること。

パンチ
punch

ポンチともいう。酒,水,砂糖などを混ぜてつくる飲料。サイダー,シロップ,ラムネなどの多種類の飲料を用いてつくられているが,普通はワイン,酒類,ジンジャーエールなどにレモンジュース,香辛料,紅茶や水を加えてつくられ,冷やして供する。赤ワインを入れたイギリスのクラレットパンチは有名で,季節の果物を入れたフルーツパンチとともに,パーティーなどによく用いられる。

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飲み物がわかる辞典 「パンチ」の解説

パンチ【punch】


ワイン、ブランデー、ラム酒などの酒に果汁、炭酸水、シロップなどを混ぜ合わせた飲み物。アルコール類を用いないものもある。パンチボウルと呼ばれる大きな鉢に入れて、パーティなどで食前酒として供する。◇サンスクリット語で「5」の意の「pãnchan」から。5つの材料を混ぜてつくるインドの飲み物に由来。「ポンチ」ともいう。

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とっさの日本語便利帳 「パンチ」の解説

パンチ

インパクトのこと。強い印象を与えることを「パンチ力がある」「パンチが効いている」という。二〇〇二年ワールドカップで、日本代表の戸田和幸選手が、英国の新聞による「モヒカン刈りベスト5」にベッカムらと並んで選ばれた際、「ベッカムはかっこいいだけ。おれはパンチ力で勝負しています」と発言した。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

栄養・生化学辞典 「パンチ」の解説

パンチ

 食前酒の一つで,アルコール飲料,レモン,砂糖などを加えて水や炭酸水を入れた飲料.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のパンチの言及

【人形劇】より

…その代表的なものは現代まで生命を保っている。イギリスのパンチPunch,フランスのポリシネルPolichinelle,ドイツのカスペルKasperl,イタリアのプルチネラPulcinellaなどは幼児から老人までに愛される道化人形である。カスペルは王様とも対話するし,客席の見物衆とも対話する。…

【ポンチ】より

…工具鋼でつくった棒状または板状の,押込みまたは切断用工具。塑性加工では,深絞りの雄型,穴あけ用の雄型,押込み変形における押込工具,また穴あけ鍛造用の雄型などをいう。罫書(けがき)工具のうちで,工作上の目印を打ったり,ドリルの中心をもみこむための点を打つのに用いる工具もポンチという。工具鋼製の丸棒または多角形の棒の一端を鋭くとがらせたもので,目打ち(プリックポンチ)は先端角度が60度で,位置決めの点を打つのに,また心立てポンチ(センターポンチ)は先端角度が90度で,目打ちで打った穴を広げるのに用いる。…

【メーヒュー】より

…イギリスのジャーナリスト。1841年雑誌《パンチ》の初代編集長となり,そのほかにも多くの新聞・雑誌の編集長となった。彼の著作の中で最も重要なものは《ロンドンの労働と貧民》4巻(1851‐64)で,ロンドン貧民街の住民の言葉をそのまま筆記し,多くの統計的資料とともにまとめたルポルタージュである。…

※「パンチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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