マルチタスク(読み)まるちたすく(英語表記)multitask

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルチタスク」の意味・わかりやすい解説

マルチタスク
まるちたすく
multitask

コンピュータで複数のタスク(作業・処理)を並行して行うこと。「コンカレント処理」ともよばれる。MS-DOS(エムエスドス)のように、同時に二つ以上のタスクを実行できないことをシングルタスクという。マルチタスク機能を使うと、ウェブブラウザでインターネットのサイト情報を見ながらワープロソフトで文章を書き、さらに表計算ソフトで統計グラフをつくるといった複数の作業を、それぞれのソフトの機能を瞬時に切り替えながら行うことができる。この処理を行うパソコンのOSオペレーティングシステム)はマルチタスクOSとよばれ、Windows(ウィンドウズ)やMac OS(マックオーエス)などがそれにあたる。また、パソコン以外でもサーバー用途で使用されることの多いLinux(リナックス)に代表されるUNIX(ユニックス)系列のOSや、iOS(アイオーエス)やAndroid(アンドロイド)など、スマートフォンなどで使用されているOSも、すべてマルチタスク機能を有している。

 マルチタスクには、疑似マルチタスク(ノンプリエンプティブ・マルチタスク)とプリエンプティブ・マルチタスクがある。Windows 3.1やバージョン9以前のMac OSは前者で、実行中のタスク制御をアプリケーション側に依存し、各アプリケーションが作業にあわせて協調的な動作を行うことで、疑似的なマルチタスクを実現していた。一方、後者は、タスク制御をOSが管理し、コンピュータのCPU中央演算処理装置)の能力にあわせて各アプリケーションを実行するもので、NT、2000以降のWindows OS、Mac OSX以降に使われている。また、Windows 95、98は、Windows 3.1との互換性確保のため、動作させるアプリケーションによって前者と後者を使い分けていた。なお、「マルチタスク」ということばは日本電気が商標登録している。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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