ミカドキジ(その他表記)Syrmaticus mikado; mikado pheasant

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミカドキジ」の意味・わかりやすい解説

ミカドキジ
Syrmaticus mikado; mikado pheasant

キジキジ科タイワン(台湾)固有種。1906年に地元住民のもっていた雄の 2枚の尾羽がイギリスに持ち帰られ,新種と記載された。「ミカド」は当時台湾が日本の統治下にあったので,明治天皇敬意を表してつけられた。全長およそ 90cm,眼のまわりは赤い皮膚が裸出する。全身の羽色は黒紫色で,白帯があり,腰に白斑がまばらにある。また同色の長い尾羽には十数本の白い横縞がある。雌は尾が短く全長およそ 56cm。羽色は地味で,背は褐色地に,腹側や尾羽は濃灰色地に濃褐色や白のまだら模様がある。標高 1800~3000mか,それ以上の高地森林に生息する。一時盛んに狩猟されたため,生息数が 2002年には 1万羽前後まで減少し,近年でもかなり少ないと考えられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミカドキジ」の意味・わかりやすい解説

ミカドキジ
みかどきじ / 帝雉
mikado pheasant
[学] Syrmaticus mikado

鳥綱キジ目キジ科の鳥。雄は全長約90センチメートル、尾が非常に長く、全体に紫黒色の羽色をしている。雌は全長53センチメートル、全体に褐色の羽色である。体形ヤマドリに似ている。台湾の標高1300~3000メートルの森林にすみ、おもに地上を歩きながら草の種子や小動物をとって食べる。詳しい生態は、まだよくわかっていない。新種の記載が尾だけに基づいて行われた珍しい例として知られる。

[樋口広芳]


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百科事典マイペディア 「ミカドキジ」の意味・わかりやすい解説

ミカドキジ

キジ科の鳥。台湾の高山のみにすむ珍しいキジで,ヤマドリに近縁。雄は翼長22cm,尾羽は60cmくらい,全身紫黒色で,翼に2条,尾羽に12〜15条の白帯がある。雌はやや小さく,体の主色は赤褐〜黒褐色。森林や竹林にすむ。1906年初めて記載された。

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