ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイワン」の意味・わかりやすい解説
タイワン(台湾)
タイワン
Taiwan
東部を南北にチョンヤン(中央)山脈が貫き,その西にシュエシャン(雪山)山脈,ユイシャン(玉山)山脈などが並行する。主脈はいずれも標高 3000mをこえる高峰が連なり,最高点はユイ(玉)山の 3952m。平野は西のタイワン海峡側に発達しており,北からタイペイ盆地,タオユワン(桃園)台地,タイチョン(台中)盆地,タイナン(台南)平原,ピントン(屏東)平原などがあげられる。ほぼ中央を北回帰線が通り,気候は亜熱帯性で,平地では冬季も降霜,降雪をみない。自給用の作物は水稲,サツマイモ,トウモロコシ,ラッカセイ,柑橘類,野菜で,商品作物としてはサトウキビ,バナナ,パイナップル,チャ(茶)が主である。ニワトリ,アヒル,ブタの飼育も多い。山地は森林に覆われ,ベニヒ,タイワンヒノキなどの用材を産し,低山部では樟脳(しょうのう。→カンファー)の産出が多い。山間の盆地や緩傾斜地ではアワやサツマイモが栽培され,焼畑農業が広く行なわれた。工業は紡織,食品,セメント,木材加工,機械,化学などが 1960年代から急速に発達した。1970年代からは鉄鋼,石油化学,造船などの重化学工業化が推進され,近年は情報処理,自動車産業の発達が著しい。カオシュン市,タイチョン(台中)市には外国企業の誘致と輸出の振興をはかる輸出加工区が設けられた。住民のほとんどは初期の移民の子孫で,台湾先住民は人口の約 2%を占める。人口 2348万7000(2021推計)。
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