ミズニラ(読み)みずにら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミズニラ」の意味・わかりやすい解説

ミズニラ
みずにら / 水韮
[学] Isoetes japonica A. Br.

ミズニラ科の夏緑性水生シダ。全体はニラに似て柔らかい。茎は塊茎状で、通常、径2~3センチメートルであるが、二次肥大成長を行って5センチメートルになることもある。葉は白く広がる卵形の基部から多数束生し、長さ10~30センチメートルで細長く、先がとがる。向軸面(葉の上側)に小舌(しょうぜつ)とよばれる三角形の小突起があり、その基部のくぼみに2型の胞子嚢(のう)を生ずる。内側の葉に大胞子嚢、外側の葉に小胞子嚢がつき、夏から秋にかけてそれぞれ大胞子と小胞子を生ずる。本州以西の浅い沼や田、溝でみられる。

 小舌のあることでイワヒバ科のクラマゴケの仲間であると思えるが、形態の比較から、古生代石炭紀の鱗木(りんぼく)などの巨大な小葉類の末裔(まつえい)とされる。

[西田治文]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミズニラ」の意味・わかりやすい解説

ミズニラ(水韮)
ミズニラ
Isoetes japonica

ミズニラ科の夏緑性シダ植物。水生で軟らかい。水中に生え,多くは植物体全体が水中に没してときに葉の一部が水の外へ出る。根茎は短く,底部が3分する。葉は長さ 20~40cm,鮮緑色で4稜のある円柱状,先端が次第にとがり多数叢生する。葉の基部は白色で卵形の鞘状に広がり,縁は薄膜質になる。夏から秋にかけて,葉の基部の内側のくぼみに胞子嚢をつけ,そのすぐ上部に1枚の長三角形の小舌がある。ヒメミズニラ I. asiaticaは根茎の底部が2分し,より小型で,胞子嚢には蓋膜がある。その他九州を中心にシナミズニラもある。ミズニラの仲間は日本産のこれら3種を含め,全世界に約 65種ほど知られているが,特にやや寒い地方に分布する。

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