改訂新版 世界大百科事典 「ミゾハコベ」の意味・わかりやすい解説
ミゾハコベ
Elatine triandra Schk.
水田に多く発生する小さく軟らかいミゾハコベ科の一年生雑草。本州~沖縄に産し,北半球から南アメリカに広く分布する。茎は地表をはい,長さ3~10cm。各節から細い根を伸ばす。葉は狭卵形で対生し,長さ5~10mm。一対の托葉がある。6~8月ころ,葉腋(ようえき)に径1mmほどの淡紅色の両性花を単生する。離弁花で,萼片,花弁,おしべが各3個ある。学名の種小名は〈3本のおしべ〉を意味する。子房は上位で3室。果実は扁球形の蒴果(さくか)で,網紋のある小さな無胚乳種子を多数散らす。水中に沈むと,植物体は大型となり,閉鎖花をつける。ミゾハコベ科は世界の熱帯~温帯に2属約45種あり,日本には,ミゾハコベのほか,シマバラソウ属シマバラソウBergia ammanninoides Roxb.ex Roth.が沖縄に産する。なお,名称が類似するミズハコベはアワゴケ科の植物である。
執筆者:森田 竜義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報