改訂新版 世界大百科事典 「ミツギリゾウムシ」の意味・わかりやすい解説
ミツギリゾウムシ
Baryrrhynchus poweri
甲虫目ミツギリゾウムシ科の昆虫。樹皮下や倒木上に見られる。体は赤褐色から黒色で,各上翅には6~7個の黄赤色紋がある。雄の口吻(こうふん)は前方へ広がり,大あごは大きい。雌の口吻は細長く棒状で,大あごは小さい。体長11~24mm。本州,四国,九州,沖縄を含む南西諸島のほか,台湾,中国,インドシナに分布する。枯木に穴をあけて産卵,幼虫は材に穿孔(せんこう)すると考えられる。ミツギリゾウムシ科Brenthidaeは熱帯,亜熱帯を中心に1300種あまりが知られており,日本からは南西諸島を中心に26種が記録されている。英名はprimitive weevil,broad weevilなど。細長い体はがんじょうで,通常は毛がない。口吻は雌雄で異なるが,前方へのびて曲がらない。触角は糸状または数珠状で長く,途中がひじ状に折れ曲がらないなどの特徴をもつ。幼虫はゾウムシ科の幼虫に似る。アリモドキゾウムシは世界の熱帯に分布し,サツマイモの害虫として知られる。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報